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21(2024年)

[最優秀賞]

事件は現場で起きている ——スナック喧嘩犯人誤認事件

西 愛礼にし・よしゆき大阪弁護士会・68期

傷害致死被疑事件

[優秀賞]

正当防衛で逆転無罪

湯浅彩香ゆあさ・あやか大阪弁護士会・72期

傷害被告事件

季刊刑事弁護新人賞の沿革

 1997年4月、伯母(うば)治之・児玉晃一両弁護士が、詐欺被疑事件において接見妨害を行った検察官と違法な接見指定を看過して準抗告を棄却した裁判官の責任を追及すべく国家賠償訴訟を、東京地方裁判所に提起しました(児玉氏のレポート・本誌11号105頁参照)。この訴訟が新人賞創設のはじまりです。

 この訴訟で、2000年12月、東京地方裁判所は、伯母弁護士に慰謝料として10万円の支払いを命じましたが、児玉弁護士の請求を棄却しました。続く控訴審では2002年3月、伯母弁護士に慰謝料を増額し25万円の支払いを命じましたが、児玉弁護士の請求はまたも棄却されました。これに対して、両弁護士は、児玉弁護士の請求は棄却されたものの判決内容は良くなったことなどの事情を考慮して、上告せず、判決が確定することになりました。

 その後、国賠弁護団と両弁護士は、賠償金25万と全国の弁護士からのカンパの残余金を、全国の新人弁護士の励みにして欲しいという願いから、新人賞の賞金として現代人文社に託しました。これを基金にして、2003年に「季刊刑事弁護新人賞」が創設されました。

 毎年、刑事弁護活動レポートを募集し、11月に選考会委員会を開き、最優秀賞1名、優秀賞2名を決定し、レポートは、翌年の季刊刑事弁護に掲載されます。

 なお、(株)TKCより協賛をいただいております。

◎募集要項は、毎年『季刊刑事弁護』4月発売号に掲載。

◎応募資格:その年の9月末で、弁護士登録から5年以内。

◎評価の基準:弁護活動の結果は問いません。新人として悩んだり苦しんだりしながら、時には周囲の助けも得て、熱意や工夫あふれる弁護活動を展開するさまは、他の弁護士や弁護士を志す者の参考となり、ベテランに初心を思い起こさせることになります。これまでの受賞作は以下のような点が評価されました。
 ・事件の全体像を正確に把握している。
 ・弁護人の主張するケース・セオリー(あるいはアナザー・ストーリー)が明確に立てられ、そのケース・セオリーに説得力がある。
 ・捜査・公判段階において、刑事訴訟法の知識を利用した有効な弁護活動がなされている。
 ・捜査弁護・公判弁護を通じ、弁護人の「努力」の跡が見られ、「情熱」を感じることができる。
 ・独創性や工夫の跡が見られる。・一定の成果が見られる。・弁護活動が感銘を与え、新人弁護士をしてよい弁護人への動機づけとなるようなものである。

◎受賞作:毎年『季刊刑事弁護』1月発売号誌上に掲載。

◎授賞式:毎年1月~2月頃。

◎主催者:現代人文社

受賞者一覧

※各回の受賞者をクリックすると、回ごとのページでレポートを読むことができます。

・第1回(2004年)
 最優秀賞:森 直也(大阪弁護士会・53期)、優秀賞:小林功武(大阪弁護士会・53期)、優秀賞:小林正憲(第二東京弁護士会・53期)

・第2回(2005年)
 最優秀賞:葦名ゆき(東京弁護士会・56期)、優秀賞:金岡繁裕(名古屋弁護士会・55期)、優秀賞:上條弘次(東京弁護士会・56期)

・第3回(2006年)
 最優秀賞:川口 創(愛知県弁護士会・55期)、優秀賞:金岡繁裕(愛知県弁護士会・55期)、優秀賞:坂根真也(東京弁護士会・57期)

・第4回(2007年)
 最優秀賞:谷口太規(埼玉弁護士会・58期)、優秀賞:紺野明弘(福島県弁護士会・57期)、優秀賞:小澤 進(長野県弁護士会・57期)

・第5回(2008年)
 最優秀賞:林 真希(東京弁護士会・59期)、優秀賞:南川 学(長野県弁護士会・58期)

・第6回(2009年)
 最優秀賞:佐藤 力(静岡県弁護士会・60期)、優秀賞:船崎まみ(東京弁護士会・60期)、優秀賞:髙橋和央(札幌弁護士会・59期)、特別賞:浦﨑寛泰(長崎県弁護士会・58期)

・第7回(2010年)
 最優秀賞:市川雅士(第二東京弁護士会・61期)、優秀賞:寺林智栄(愛知県弁護士会・60期)、優秀賞:白 諾貝(札幌弁護士会・61期)

・第8回(2011年)
 最優秀賞:高橋千恵(埼玉弁護士会・62期)、優秀賞:寺田明弘(沖縄弁護士会・60期)、優秀賞:大坂恭子(愛知県弁護士会・60期)、特別賞:田中広太郎(横浜弁護士会・62期)

・第9回(2012年)
 最優秀賞:山本了宣(大阪弁護士会・62期)、優秀賞:菅原直美(札幌弁護士会・63期)、優秀賞:炭谷喜史(大阪弁護士会・61期)、特別賞:三澤太雅(横浜弁護士会・61期)

・第10回(2013年)
 最優秀賞:該当者なし、優秀賞:辻 亮(大阪弁護士会・62期)、優秀賞:馬場俊光(東京弁護士会・64期)、特別賞:吉田 督(和歌山弁護士会・63期)

・第11回(2014年)
 最優秀賞:折戸誠子(第一東京弁護士会・65期)、優秀賞:小林和彰(長野県弁護士会・63期)、優秀賞:赤堀順一郎(大阪弁護士会・65期)

・第12回(2015年)
 最優秀賞:神林美樹(第一東京弁護士会・64期)、優秀賞:染川智子(大阪弁護士会・64期)、優秀賞:芝﨑勇介(東京弁護士会・66期)

・第13回(2016年)
 最優秀賞:伊藤英範(熊本県弁護士会・65期)、優秀賞:池田征弘(鳥取県弁護士会・66期)、優秀賞:山田恵太(東京弁護士会・65期)、特別賞:工藤ゆかり(香川県弁護士会・65期)

・第14回(2017年)
 最優秀賞:伊藤 建(富山県弁護士会・66期)、優秀賞:白井淳平(大阪弁護士会・67期)、優秀賞:松本浩幸(福岡県弁護士会・66期)

・第15回(2018年)
 最優秀賞:池田真理子(兵庫県弁護士会・68期)、優秀賞:市川耕士(高知弁護士会・67期)、優秀賞:大沼卓朗(第二東京弁護士会・69期)

・第16回(2019年)
 最優秀賞:隈慧史(福岡県弁護士会・66期)、優秀賞:青山玄(東京弁護士会・66期)、優秀賞:髙見智恵子(東京弁護士会・70期)、特別賞:李世燦(東京弁護士会・68期)

・第17回(2020年)
 最優秀賞:久保田洋平(第一東京弁護士会・67期)、優秀賞:輿石祐司(大阪弁護士会・70期)、優秀賞:加藤聡一郎(第一東京弁護士会・68期)

・第18回(2021年)
 最優秀賞:該当者なし、優秀賞:飯田貴大(千葉県弁護士会・71期)、優秀賞:ベロスルドヴァ・オリガ(第二東京弁護士会・72期)

・第19回(2022年)
 最優秀賞:下村悠介(第二東京弁護士会・72期)、優秀賞:志塚永(第一東京弁護士会・72期)、優秀賞:田中晴登(大阪弁護士会・69期)

・第20回(2023年)
 最優秀賞:平岡百合(東京弁護士会・73期)、優秀賞:進藤一樹(愛知県弁護士会・72期)

・第21回(2024年)
 最優秀賞:西 愛礼(大阪弁護士会・68期)、優秀賞:湯浅彩香(大阪弁護士会・72期)