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刑事弁護に関わる全ての記事が表示されます
久保田洋平くぼた・ようへい第一東京弁護士会・67期
傷害致死被告事件
輿石祐司こしいし・ゆうじ大阪弁護士会・70期
危険運転致傷(予備的訴因 過失運転致傷)被告事件
加藤聡一郎かとう・そういちろう第一東京弁護士会・68期
窃盗被疑事件
第17回季刊刑事弁護新人賞は、全国から6件の応募があり、2019年9月1日、現代人文社で選考委員会が行われました。議論の結果、最優秀賞1名、優秀賞1名、特別賞1名が選出されました。
最優秀賞に選ばれた久保田洋平さん(第一東京弁護士会、67期)は、傷害致死事件の傷害の発生原因について、被告人の暴行以外に考えられるさまざまな可能性を検討し、検証等を重ねています。また、検察官の主張に対する対応に際しても、目撃者とされる者の供述を鵜呑みにせず、現場に赴きみずから事情を聴取し、公判への対応準備をしています。情熱を持って事実と徹底的に向き合う姿勢は、刑事弁護人に共通して求められるものではないでしょうか。選考委員は全員一致で、久保田さんの活動を高く評価しました。
優秀賞には、輿石祐司さん(大阪弁護士会、70期)が選出されました。輿石さんは、Ⅰ型糖尿病に罹患していた依頼者が危険運転致傷に問われた事件において、依頼者の意向や、処分の見込みからすれば、争う選択をしないことも十分考えられたところ、安易な方針決定をすることなく、医学的知識や依頼者の具体的生活状況から、最終的な方針を決定しています。弁護人が疑問を持ち、弁護活動を展開するのでなければ適正な判断はなされなかったと思われる事案であり、公判での対応にはいくつか気になる点があるものの、十分に評価されるべきとの結論となりました。
特別賞に選出された加藤聡一郎さん(第一東京弁護士会、68期)は、クラブで発生したとされる窃盗事件で、依頼者を身体拘束から解放するために、受任直後から積極的な活動を展開しています。依頼者が身体拘束から解放された後も、活動を停滞させることなく、不起訴の結果へと導きました。捜査段階で弁護人が入手した情報をどの段階でどの程度捜査機関に提供するかは難しい判断を含むところですが、短期間に継続して熱意ある活動を展開し、身体拘束をはじめとする刑事手続の負担から依頼者を早期に解放したことは、高く評価されました。身体拘束からの解放への積極的な取組みが全国的な広がりを見せる中、このような活動の意義を再認識させてくれる報告であることから、特別賞としました。
今回応募のあった報告は、いずれも刑事弁護活動への熱意を感じさせるものでした。このような活動が、さらに展開されていくことを期待します。
* 今回の選考委員は次のとおり。赤木竜太郎(弁護士・東京弁護士会)、川﨑拓也(弁護士・大阪弁護士会)、斎藤司(龍谷大学教授)、高平奇恵(弁護士・第二東京弁護士会・東京経済大学准教授)、児玉晃一(弁護士・東京弁護士会)、北井大輔(本誌編集長)。
* 本賞は、株式会社TKCにご協賛いただいております。
[論評]
第17回季刊刑事弁護新人賞は、全国から6件の応募があり、2019年9月1日、現代人文社で選考委員会が行われました。議論の結果、最優秀賞1名、優秀賞1名、特別賞1名が選出されました。
最優秀賞に選ばれた久保田洋平さん(第一東京弁護士会、67期)は、傷害致死事件の傷害の発生原因について、被告人の暴行以外に考えられるさまざまな可能性を検討し、検証等を重ねています。また、検察官の主張に対する対応に際しても、目撃者とされる者の供述を鵜呑みにせず、現場に赴きみずから事情を聴取し、公判への対応準備をしています。情熱を持って事実と徹底的に向き合う姿勢は、刑事弁護人に共通して求められるものではないでしょうか。選考委員は全員一致で、久保田さんの活動を高く評価しました。
優秀賞には、輿石祐司さん(大阪弁護士会、70期)が選出されました。輿石さんは、Ⅰ型糖尿病に罹患していた依頼者が危険運転致傷に問われた事件において、依頼者の意向や、処分の見込みからすれば、争う選択をしないことも十分考えられたところ、安易な方針決定をすることなく、医学的知識や依頼者の具体的生活状況から、最終的な方針を決定しています。弁護人が疑問を持ち、弁護活動を展開するのでなければ適正な判断はなされなかったと思われる事案であり、公判での対応にはいくつか気になる点があるものの、十分に評価されるべきとの結論となりました。
特別賞に選出された加藤聡一郎さん(第一東京弁護士会、68期)は、クラブで発生したとされる窃盗事件で、依頼者を身体拘束から解放するために、受任直後から積極的な活動を展開しています。依頼者が身体拘束から解放された後も、活動を停滞させることなく、不起訴の結果へと導きました。捜査段階で弁護人が入手した情報をどの段階でどの程度捜査機関に提供するかは難しい判断を含むところですが、短期間に継続して熱意ある活動を展開し、身体拘束をはじめとする刑事手続の負担から依頼者を早期に解放したことは、高く評価されました。身体拘束からの解放への積極的な取組みが全国的な広がりを見せる中、このような活動の意義を再認識させてくれる報告であることから、特別賞としました。
今回応募のあった報告は、いずれも刑事弁護活動への熱意を感じさせるものでした。このような活動が、さらに展開されていくことを期待します。
* 今回の選考委員は次のとおり。赤木竜太郎(弁護士・東京弁護士会)、川﨑拓也(弁護士・大阪弁護士会)、斎藤司(龍谷大学教授)、高平奇恵(弁護士・第二東京弁護士会・東京経済大学准教授)、児玉晃一(弁護士・東京弁護士会)、北井大輔(本誌編集長)。
* 本賞は、株式会社TKCにご協賛いただいております。