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川口 創かわぐち・はじめ愛知県弁護士会・55期
強盗殺人未遂被告事件
金岡繁裕かなおか・しげひろ愛知県弁護士会・55期
強姦・わいせつ目的略取未遂等被告事件
坂根真也さかね・しんや東京弁護士会・57期
殺人未遂被告事件
第3回目を迎えた季刊刑事弁護新人賞には、自薦・他薦を含め全国から6名の応募がありました。
2005年11月13日に選考委員会を開き、厳正な審査の結果、表記のとおり最優秀新人賞1名、優秀新人賞2名が決定しました。
今年度も選考委員がすべての応募作に目を通し、各人が評価を述べていきました。評価に若干のばらつきはあるものの、弁護活動の過程と結果の総合評価をするということでは異論がありませんでした。
その結果、上位3名は、愛知県弁護士会の川口創氏(55期)、金岡繁裕氏(55期)、東京弁護士会の坂根真也氏(57期)に絞られました。
川口氏の応募作は、控訴審において強盗殺人未遂事件で逆転無罪判決を勝ち得たという結果だけではなく、その成果に至るまで、足を使って現場に赴き、車の走行実験をし、一宮駅に赴いて全タクシーの運行履歴を調べたりという地道な活動が非常に高く評価されました。同レポートにも、「地べたを這うようなたった1人の『捜査活動』が勝負を決したのだと思っている」とありますが、最優秀新人賞受賞の決め手になったのも、まさにこの「地べたを這うような」活動だったといえるでしょう。
優秀新人賞の1つは、坂根氏の応募作でした。感動的な話であり、読ませる、という意味では最も高い評価を得ていました。殺人の公訴事実を認めて情状弁護のみをするか、それとも被害者の同意があったことを主張して嘱託殺人が成立するにすぎないという主張を通すかを悩みつつ、寝たきりで発語することができない被害者(妻)の意思を直接確認して証拠化するなど、熱意にあふれた弁護活動の結果、嘱託殺人という主張が通ったことが高く評価されました。
もう1人の優秀新人賞受賞者の金岡氏は、昨年に続いての受賞です。昨年同様、コンスタントに創意工夫のある弁護活動をされている点に、敬意を表する委員もいました。同じ弁護人として同種案件を受任したときに、自分ではここまでの活動はできないだろうという意見もありました。また、斬新な問題意識が専門家やメディア関係者の関心を惹きつけたということも評価されました。ただ、最終的には判決の量刑に繋がらず、かつ裁判所に伝えるためにどのような努力を払ったのかが応募作の文面からは必ずしも伝わりきらなかったことなどの理由で、今回も残念ながら優秀新人賞にとどまりました。
その他の応募作も熱意ある活動は高く評価されましたが、上記の受賞作には及びませんでした。
冒頭にも述べましたが、評価の対象は必ずしも無罪や準抗告決定などの結果だけを重視しているわけではありません。今回も、無罪判決を得た事件が選に漏れており、第1回目には情状弁護で非常に優れた活動が高く評価され、優秀賞となっています。
最後に、選考委員一同、次回にはより多くの方々からの応募があることを切にお願いして、選評とさせていただきます。
[論評]
第3回目を迎えた季刊刑事弁護新人賞には、自薦・他薦を含め全国から6名の応募がありました。
2005年11月13日に選考委員会を開き、厳正な審査の結果、表記のとおり最優秀新人賞1名、優秀新人賞2名が決定しました。
今年度も選考委員がすべての応募作に目を通し、各人が評価を述べていきました。評価に若干のばらつきはあるものの、弁護活動の過程と結果の総合評価をするということでは異論がありませんでした。
その結果、上位3名は、愛知県弁護士会の川口創氏(55期)、金岡繁裕氏(55期)、東京弁護士会の坂根真也氏(57期)に絞られました。
川口氏の応募作は、控訴審において強盗殺人未遂事件で逆転無罪判決を勝ち得たという結果だけではなく、その成果に至るまで、足を使って現場に赴き、車の走行実験をし、一宮駅に赴いて全タクシーの運行履歴を調べたりという地道な活動が非常に高く評価されました。同レポートにも、「地べたを這うようなたった1人の『捜査活動』が勝負を決したのだと思っている」とありますが、最優秀新人賞受賞の決め手になったのも、まさにこの「地べたを這うような」活動だったといえるでしょう。
優秀新人賞の1つは、坂根氏の応募作でした。感動的な話であり、読ませる、という意味では最も高い評価を得ていました。殺人の公訴事実を認めて情状弁護のみをするか、それとも被害者の同意があったことを主張して嘱託殺人が成立するにすぎないという主張を通すかを悩みつつ、寝たきりで発語することができない被害者(妻)の意思を直接確認して証拠化するなど、熱意にあふれた弁護活動の結果、嘱託殺人という主張が通ったことが高く評価されました。
もう1人の優秀新人賞受賞者の金岡氏は、昨年に続いての受賞です。昨年同様、コンスタントに創意工夫のある弁護活動をされている点に、敬意を表する委員もいました。同じ弁護人として同種案件を受任したときに、自分ではここまでの活動はできないだろうという意見もありました。また、斬新な問題意識が専門家やメディア関係者の関心を惹きつけたということも評価されました。ただ、最終的には判決の量刑に繋がらず、かつ裁判所に伝えるためにどのような努力を払ったのかが応募作の文面からは必ずしも伝わりきらなかったことなどの理由で、今回も残念ながら優秀新人賞にとどまりました。
その他の応募作も熱意ある活動は高く評価されましたが、上記の受賞作には及びませんでした。
冒頭にも述べましたが、評価の対象は必ずしも無罪や準抗告決定などの結果だけを重視しているわけではありません。今回も、無罪判決を得た事件が選に漏れており、第1回目には情状弁護で非常に優れた活動が高く評価され、優秀賞となっています。
最後に、選考委員一同、次回にはより多くの方々からの応募があることを切にお願いして、選評とさせていただきます。