難民保護、日本の40年を総括する
2021年は、1951年に難民条約が発効してから70年、日本が1981年に難民条約・議定書に加入してから40年の節目の年であった。果たして日本の難民行政の40年は、世界で構築されてきた難民保護レジームとともに改善を重ねてきたといえるであろうか。
研究者と実務家それぞれの視点から日本の難民行政を総括し、改めて「難民保護」を考える。過去を振り返り、現状を認識することで、今後目指すべき方向性が見えてくる。
特集 難民保護再考 ・企画趣旨 難民研究フォーラム編集委員会
特集論文・報告 ・難民行政40年―日本における難民保護の変遷と課題 生田志織(難民研究フォーラム事務局) ・国際人権法から見た日本の難民行政の40年 小坂田裕子(中京大学、国際人権法) ・「人道的統治」と難民の階層化―ドイツと日本の比較から 昔農英明(明治大学、社会学) ・日本における「難民」受入れをめぐる規範意識のこれまでとこれから―難民条約以前の「難民」の取扱いから考える 小畑郁(名古屋大学、国際法)
特集投稿論文・報告 ・難民の居住権が生計活動に与える影響―ザンビアのメヘバ難民定住地におけるアンゴラ難民の事例から 田中翔(大阪大学国際公共政策研究科、国際関係論) ・難民キャンプにおける空間計画と実態の差異としての空間変容―カクマ難民キャンプにおける難民の空間占有認識 窪田亜矢(東京大学、地域計画)/ダスティッド・フェラティ(東京大学、建築・都市計画) ・イスラームの連帯が創造する難民保護―ヨルダンのイスラーム的NGOによる国際連携の事例から 佐藤麻理絵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科、中東地域研究) ・ジェンダーの視点を取り入れた難民認定審査を考える―DVをめぐる国際人権法と国際難民法の関係を中心に 小宮理奈(元UNHCR職員、国際難民法) ・強制結婚とDVを理由とする日本における難民認定事例 髙見智恵子(弁護士・群馬弁護士会、国際難民法)
若手難民研究者奨励賞論文・報告・研究概要 ・若手難民研究者奨励賞とは ・日本人の対難民意識とメディア報道接触に関する実証研究 大茂矢由佳(筑波大学人文社会科学研究群博士後期課程、メディア研究) ・インモビリティとナイロビ移民2世の個人史 八木達祐(立命館大学大学院先端総合学術研究科、人類学・観光学) ・都市在住シリア難民障害者の現状と国際協力支援の課題―ヨルダンにおけるシリア難民身体障害当事者への調査 山本清治(神戸大学大学院保健学研究科パブリックヘルス領域・大阪保健医療大学大学院健康生活支援学領域、国際保健) ・難民キャンプにおける家郷の創造―南スーダン、ロピット難民の儀礼実践と物質文化 村橋勲(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター特任研究員、文化人類学・アフリカ地域研究)
通年報告 ・2020年日本の判例動向 杉本大輔(全国難民弁護団連絡会議事務局) ・海外判例評釈 加藤雄大(東北医科薬科大学) ・2020年難民動向分析―日本― 山田光樹(難民研究フォーラム) ・2020年難民動向分析―世界― 恒吉藍(難民研究フォーラム・リサーチアシスタント) ・2020年無国籍動向分析 小田川綾音(弁護士) ・2020年難民関連文献一覧
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(2022年03月22日公開)