保釈を勝ち取る


保釈を勝ち取る

本体3,600円+税

愛知刑事弁護塾 編

保釈裁判にかかる具体的理由のわかる、2018年以降のものを中心とした決定書90件(および当初請求に対する許可決定であるにも関わらず不服申立審並みの理由説示がされている注目すべき1件)をそのまま収録。刑事弁護の現場で保釈を勝ち取ることに腐心するそれぞれの弁護士たちが、決定書を検討し、現状分析と、さらに先に進むための提言を加える。

第1章では、結果として無罪になっている事例を取り上げ、結果として無罪になる案件の保釈が難航している実情について検討する。
第2章では、より対審的に審理されるべき保釈裁判の手続的な現実と、実務的に行われている若干の工夫について取り上げた。
第3章では、否認事件を中心に取り扱う執筆担当者において、起訴直後から少なくとも相当早期に保釈を得てきた実践を素材に、裁判所をどのような視点で納得させていくか、いくつかの着眼点を指摘した。あわせて、第5章、第8章ないし第11章のように、事情変更を作出したり保釈条件を工夫したりする実践についても、参照すると良いと思われる。
第4章、第6章、第7章では、重大前科(2号)や、暴力団関係者、逆に主婦といった、一定の人的属性を有する被告人の場合に、その人的属性がどのように扱われているかを検討した。
第10章では、上訴保釈の実情を検討した。
第12章では、不服申立審で結論が変更されている事案の実情を検討した。

また、コラムも豊富に掲載。コラムは、肩のこらない読み物であったり、思いの丈であったり、実務的なちょっとしたコツであったりするが、時に各章の論文よりも鋭い問題意識が示されていたりする。

さらに、我が国を代表する刑事弁護士4名に、保釈との関係での一文を寄せて頂いた。今も昔も「人質司法」であることを鮮明に描き出す浅井弁護士、郷原弁護士。証拠隠滅や逃亡の危険が無に等しくなるまで保釈を認めない裁判所の姿勢は、あたかも子どもの水難事故を防止するために水位の低い池以外はすべて埋めてしまうが如しと喝破された後藤弁護士。人質司法の実態を明確に伝えるため、情報隠しを行う司法統計に抗して刑事弁護人が情報を出し合っていく必要性を訴える高野弁護士。期せずして、その問題意識は一カ所に凝集したように読める。

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(2021年11月29日公開) 


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