A この本は、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠 如・多動症(ADHD)などの発達障害について、そ の診療や支援に関する具体的な対応策が記載され ているものですね。
H 検査ツールの使い方や薬物療法、困難事例へ の対応など、発達障害にまつわるさまざまなトピック を解説していて、かなりマニアックですよね。医療専 門書的なところもあって。
F もともと弁護士向けの本じゃないですもんね。
A 序の部分を読むと、司法関係者も読者対象に なってますけど。
F でも、その中で弁護士はあまり意識されていな いような気がします。もっと直接支援している人たち が対象なんだと思います。
H 書いてあるのが診断方法とかですからね。
A 鑑定書を読むときの手引きにはなるんじゃない かな。
F 発達障害は診断の手法自体が誤っていることが あるので、診断ツール(54頁)のところも鑑定書を読 み解くうえでは参考になります。 あとは、司法領域との絡みというところをかなり意 識した本ではあるので、総論では触法に言及してい るし(3頁)、発達障害の症状や特徴もわかりやすく 書いてあって(38頁)、発達障害のある人の事件が 来たときに“気づき”の参考になると思います。 それから情状的なところで、「発達障害者が非行 化する機序」(98頁)などは弁論に使えるかな、とい う気がしました。
B 意思決定に対する非難のところでね。
A 更生支援計画を作るときにも、そこは意識する といいかもしれないですね。
H 尋問準備のときとかも。
I 一般の医学書よりかなりかみ砕いて書いてあり ますよね。支援の事例とかもあって(148頁)、他の 専門書を読んだり専門家の話を聞くためのとっかか りとしてはいい本だと思います。
A 医師に話を聞きに行く前提として読んでおくと、 コミュニケーションがとりやすくなるのかな、という 感じがしますね。
F 事務所に1冊あると便利ですよね。
(2018年11月15日公開)