H この本は、刑事訴訟の証拠法に特化したもので、 オリジナルな事例に基づいて理論的な解説がなされ ています。筆者の太田さんは早稲田ローの教授なの で、ロースクールでの講義を起こしたものなのかな と思います。
I 証拠の位置づけなどは事例に即して具体的に 説明されていていいんですが、すぐに探し出せない んですよね、通読しないと。全体としては、学説と か教科書的な基本を書いてある本なので学生向けな んでしょうね。
D 実務家が通読するのはちょっとしんどそうです ね。ただ、296頁の挿し絵とか、「第一次伝聞」「再 伝聞」「再々伝聞」について図解されていて、斬新で
すね。
H そう、挿し絵はけっこう面白いんですよね。
D 著者略歴には、2011年に京都地検検事正を退 官とあります。
A 検察官の考え方がわかる感じでしょうか。
I 証拠構造は被告人の弁解によって変えていくと か書いてあったりして(26頁)、じゃあやっぱり黙秘 させたほうがいいんだと(笑)。 全員 そういう使い方ね(笑)。
I そういう意味では検察官の考え方が一貫して書 かれていて参考になります。この証拠はこのために つくるとか。
H 裁判官ではなく検察官の視点というのはめずら しいかもしれませんね。
(2018年11月15日公開)