第22回季刊刑事弁護新人賞(主催:現代人文社、協賛:株式会社TKC・刑事弁護オアシス)は、最優秀賞に竹下順子さん(72期、佐賀県弁護士会)、優秀賞に拝地旦展さん(75期、大阪弁護士会)、特別賞に松本亜土さん(74期、大阪弁護士会)とそれぞれ決まった。
今回の新人賞には、全国から12名の応募があった。内訳は、札幌弁護士会1名、千葉県弁護士会1名、東京弁護士会1名、神奈川県弁護士会1名、愛知県弁護士会1名、三重弁護士会1名、滋賀弁護士会2名、大阪弁護士会3名、佐賀県弁護士会1名である。
・竹下順子(たけした・じゅんこ)さん 福岡県出身。2017年、九州大学法科大学院卒業。2019年、弁護士登録(佐賀県弁護士会)。現在、桑原法律事務所(佐賀オフィス)に所属。
・拝地旦展(はいち・あきひろ)さん 大阪府出身。2021年、京都大学法科大学院卒業。2022年、弁護士登録(大阪弁護士会)。現在、後藤・しんゆう法律事務所に所属。
・松本亜土(まつもと・あど)さん 兵庫県姫路市出身。甲南大学法科大学院卒業。2022年、弁護士登録(大阪弁護士会)。現在、関西合同法律事務所に所属。
最優秀賞の竹下順子さんのレポートは、我が子の腕が骨折していたことから父親が傷害罪で起訴された「子どもの虐待えん罪」事例。骨折が生じるあらゆる原因と可能性を検討し、それを立証できる協力医を見つけ出すことに成功した。その結果、救急外来での研修医の処置の際に骨折が生じた可能性のあることがわかった。2年7カ月にわたり弁護活動を展開して、最終的に一審無罪判決を獲得(検察官控訴が二審で棄却され、無罪確定)。
また、優秀賞の拝地旦展さんのレポートは、詐欺・詐欺未遂被疑事件の被疑者から警察留置官に「被疑者ノート」を検閲されているとの申し出を受け、それに対処した事案。準抗告、特別抗告、移送申立て、勾留理由開示、抗議書などあらゆる手段をとって、被疑者の黙秘権と秘密交通権を確保し、最終的に嫌疑不十分・不起訴処分にいたった。
そして、特別賞の松本亜土さんのレポートは、上記レポートのような個別事件の弁護活動報告ではない。女性の被疑者は、留置施設や取調べでブラジャーの着用を禁じられている。女性の被疑者が、腰縄でTシャツの上から締め付けられ、身体の線が出る状態で取調べを受けていることに疑問を感じて、女性の被疑者が、留置施設においてTシャツ型ブラトップの貸し出しを受けることができるよう、関西圏の警察ばかりでなく全国の警察に働きかけた事案である。
いずれのレポートも、季刊刑事弁護121号(2025年1月20日発売)に掲載される。また、過去の受賞作は、本サイトの「季刊刑事弁護新人賞」のコーナーで見ることができる。
新人賞授賞式と同時に行われる、刑事弁護フォーラム・現代人文社共催、(株)TKC・刑事弁護オアシス協賛の記念セミナーは、3月9日(日)14時30分より、東京会場(東京・飯田橋)とオンラインのハイブリットで行われる。
今回は、第二東京弁護士会の高野隆弁護士による「刑事弁護と弁護士倫理」についてのセミナーである。
お申し込みはこちらから、締切は3月5日(水)17時まで。
(2024年12月20日公開)