今西事件で、大阪高検が最高裁へ上告/弁護団が抗議声明


IPJ報告集会で発言する今西貴大(右)と川崎拓也弁護士(2024年12月1日、大阪市内で。撮影:刑事弁護オアシス編集部)

 大阪市内で、2017年に2歳の娘に暴行して死亡させたとして傷害致死罪などに問われていた父親の今西貴大さん(35歳)が、11月28日、大阪高裁(石川恭司裁判長)で逆転無罪を言い渡されたが、大阪高等検察庁は、上告期限となる12月12日、最高裁に上告した。

 判決後、今西事件弁護団は大阪高等検察庁に対し上告をしないよう申入れを行ったほか、署名活動していた(オンライン署名6,899人)。

 12月12日、同弁護団(主任弁護人:川﨑拓也)は、「今西事件についての検察官の上告申立に対する弁護団の抗議声明」と出した。

 声明では、「証拠を正当に評価しようとせず、今西さんだけでなく、多くの人の思いをも踏みにじった検察官の上告は、『検察の理念』(2011年9月30日)が求める検察官のあるべき姿勢を忘れたあまりに不公正で愚かな暴挙であり、著しく正義に反」するとして、上告申立てに強く抗議している。

 そして、「検察官による上告申立は、一審で13名の専門家が証言台に立ち、控訴審においても、さらに8名の専門家が証言台に立つという異例の事実調べを経て、十二分に証拠関係を精査した上でなされた大阪高裁の逆転無罪判決に対して、上告理由など全く見い出せ」ないと厳しく批判。

 最後に、「検察官による上告申立は、日常生活を取り戻したいという今西さんの切実な願いを踏みにじるものであり、有罪主張をしてきた検察庁の面子を保とうとするものという他ありません」として、今後も「弁護団は、不当な上告申立に決して屈することなく、最高裁において、一刻も早く、正しく証拠関係を評価した大阪高裁判決が確定するよう、全力で取り組んでいく」と結んでいる。

 イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)が「今西事件逆転無罪判決に対する検察官の上告に強く抗議します」と日本国民救援会が「虐待冤罪今西事件・大阪高検の上告に抗議する声明」を、それぞれだしている。

(2024年12月16日公開)


こちらの記事もおすすめ