このほど、現代人文社より、一般社団法人東京TSネット編『更生支援計画をつくる——罪を問われた障害のある人への支援』を大幅改定して第2版が出版された。それを記念したセミナーを、8月24日(土)に会場とオンラインのハイブリッドで開催される。
本書は、「更生支援計画」が多くの人に利用されるように、障害のある人が刑事事件を起こしてしまった時、本人にはどんな手続が待ち構えているのか、障害が事件に与えた影響、事件が起きたメカニズムをどのように分析すればいいのか、刑事手続終了後、本人が望む地域生活をどう実現していくのか——など更正支援計画作成にあって必要となる刑事手続の知識や留意点を、実際の事例に基づいて更正支援コーディネーターに提供するものである。
このセミナーのメインは、本書の監修者でもある山口県立大学教授・水藤昌彦さんによる、更生支援計画に関わっているソーシャルワーカの新名雅樹さん、西出一美さん、弁護士の遠藤直也さんの3名へのインタビューである。それにより、更生支援の現在地と、これから向かうべきところを明らかにする。
本書の編者である東京TSネットは、ソーシャルワーカー、弁護士、医師などによって、2013年に立ち上げられた。
刑事手続の中に、多くの「罪を問われた障害のある人」がおり、十分な援助がないまま放置されていることが、2000年半ばから社会問題として取り上げられるようになった。この問題に対処するために、東京TSネットは更正支援コーディネートに取り組んできている(同書「はじめに」、本文)。本書はその成果でもある。
◯テーマ:『更生支援計画をつくる』第2版出版記念セミナー
◯日時:2024年8月24日(土)14:00〜17:15
◯方法:会場とオンライン(zoom)のハイブリッド開催
※会場:東京都新宿区揚場町2−1 軽子坂MNビル(㈱TKC東京本社2F)
※会場では現代人文社の書籍販売も予定
◯参加費:1,000円(学生の方は無料)
◯タイムテーブル(予定):
14:00〜14:20 更生支援計画をつくる第2版のご紹介
14:20〜16:30 インタビューで描き出す「更生支援」の今とこれから
16:30〜17:15 クロストーク・質疑応答
◯登壇者:
水藤昌彦(山口県立大学、本書監修者)
新名雅樹(NPO法人岡山きずな)
西出一美(大阪府地域生活定着支援センター)
遠藤直也(弁護士)
◯申し込みはこちらから。
◯主催:一般社団法人東京TSネット
◎登壇者プロフィール
水藤昌彦(みずとう・まさひこ)
山口県立大学社会福祉学部・大学院健康福祉学研究科教授。専門は司法福祉、ソーシャルワーク、刑事政策。モナシュ大学大学院修了(オーストラリア) (Master of Social Work)。九州大学大学院法学府博士後期課程(法政理論専攻)単位取得満期退学。2001年からビクトリア州政府ヒューマン・サービス省にて、障害のある犯罪行為者への対応などに関わる。2008年より社会福祉法人北摂杉の子会勤務を経て、2011年山口県立大学社会福祉学部准教授。2017年より現職。独立行政法人国立のぞみの園参事を兼務。地域生活定着支援センター、障害福祉サービス事業所、学校などへのコンサルテーション・研修、地方自治体による再犯防止推進計画策定などにも携わっている。
新名雅樹(しんみょう・まさき)
1995年、社会福祉士を取得。その後、12年間、在宅高齢者支援に携わる。2007年に大学院博士前期課程を修了し、独立型社会福祉士として活動を開始する。2009年、独立型社会福祉士と並行して、弁護士事務所にてソーシャルワーカーとしても勤務し、7年間、法人後見業務や刑余者支援を行う。2016年よりNPO岡山きずなにて支援相談員として入職し、ホームレス者等への支援を行っている。
西出一美(にしで・かずみ)
精神保健福祉士、社会福祉士。学生時代に刑事政策を専攻し、矯正施設退所者の社会復帰支援、特に更生保護と社会福祉の連携について学びを深める。卒業後、ホームレス支援、精神科医療機関での勤務を経て、2020年より大阪府地域生活定着支援センターへ入職。福祉的な支援を必要とする矯正施設退所予定者(高齢者や障がい者)に矯正施設入所中から、退所後の地域生活を継続する支援を行っている。
遠藤直也(えんどう・なおや)
2009年弁護士登録。弁護士業務として主に障害のある被疑者・被告人の刑事弁護に取り組む。千葉市精神医療審査会委員。千葉県発達障害者支援地域協議会委員。また、2012年より福祉職・司法関係者有志による勉強会「千葉モデル勉強会」を毎月開催。2017年より窃盗癖当事者の自助グループ「KA千葉」を毎月2回開催。
(2024年08月06日公開)