再審法改正をめざす市民の会は、5月20日(木)14時から、「作ろう! 冤罪をただす再審の法制度を」と題して、インターネット配信による結成2周年記念の集会を開く。
同集会では、「裁判をやり直して無実の人を救済する再審は、冤罪救済の最後の手段ですが、制度のルールがないため機能不全となり、無実の人を無罪にできない問題が生じています」と、再審裁判の現場の動きや冤罪被害者の発言に基づいて再審法の改正はなぜ必要かを訴える。
再審請求事件に関する最高裁の最近の動きは、つぎのとおりである。2019年6月、大崎事件で、第1小法廷(小池裕裁判長)は、再審開始を認めた鹿児島地裁と福岡高裁宮崎支部の決定を取り消し、請求を棄却。2020年12月、袴田事件で、第3小法廷(林道晴裁判長)は再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を同高裁に差し戻した。大崎事件の再審決定を取り消した同じ第1小法廷は、今年4月21日、飯塚事件の再審請求で元死刑囚の特別抗告を棄却する決定をした。
救済されていない冤罪は、このほかにも多数ある。1日も早い救済のためには、再審法の早期の確立が喫緊の課題の一つである。
○日時:5月20日(木)14時〜16時 Youtube ライブによるインターネット配信
○プログラム:
・冤罪犠牲者の鼎談=もう泣く人を作らない
西山美香さん(滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件)
青木惠子さん(大阪・東住吉冤罪事件)
桜井昌司さん(茨城・布川事件)
・シンポジウム=再審法改正、なぜ必要か
パネリスト=木谷明さん(弁護士・元裁判官)、市川寛さん(弁護士・元検察官)、鴨志田祐美さん(弁護士) コーディネーター=周防正行さん(映画監督)
・再審裁判の現場から
再審請求の審理は、通常の裁判では当たり前と思われる証拠開示などの規定がないため、担当した裁判官の胸先三寸で進められる。十分な審理を受けるために何が必要か、再審を闘う弁護士がレポート。
・冤罪関係者からのビデオレター
袴田事件・袴田秀子さん(袴田巖さんの姉)、日野町事件・阪原弘さんのご遺族、名張事件・岡美代子さん(奥西勝さんの妹)ほか
・各党の国会議員より報告
なお、 再審法改正をめざす市民の会では、 過去に行ったセミナーなどの映像をすべて公開している。WEBサイトからアクセスできる。
最新公開されたのは、『桜井昌司さんが語る―冤罪・布川事件―』である。
やってもいない強盗殺人の犯人とされ、29年間服役した桜井昌司さん。裁判のやり直し=再審を切り開いたのは、桜井さんの無実を示す新証拠である。これらは桜井さんに無罪判決が出ないよう、検察が裁判に出さずに隠し続けていたものであった。どんな証拠が隠され、どうやって開示させたのか、桜井さんがインタビューで語る。聞き手は映画監督の周防正行さん。冤罪防止と公正な裁判の実現のための証拠開示の必要性を浮き彫りにする。
(2021年05月07日公開)