4月6日、衆議院法務委員会で、18・19歳を「特定少年」として厳罰化する「少年法等の一部を改正する法律案」の審議がはじまった。1日目は、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科教授・川出敏裕、少年犯罪被害当事者の会代表・武るり子、被害者と司法を考える会代表・片山徒有、駒沢女子大学人間総合学群心理学類教授・須藤明各氏が出席した。
片山徒有代表は、この日の午後、「子どもと法21」の吉田朋弘(弁護士)、刑事法研究者で一橋大学教授の本庄武各氏とともに少年法改正案に反対する共同記者会見をひらいた。
片山さんは、約20年間全国約40施設の刑務所・少年院などで更生教育に関わった経験がある。会見では、そうした経験に基づいて発言した法務委員会で意見や質疑内容を報告した後、「少年事件は人間として未成熟により起こるもので、改正で少年が実名報道にさらされ、立ち直りのための機会が奪われる」などと訴えた。同時に、声明書「百害あって一利なし:少年法改正・『特定少年』対策に絶対反対!少年法改正を許さない」と改正案を批判検討する単行本『18・19歳非行少年は、厳罰化で立ち直れるのか』の出版を公表した。
会見に同席した本庄教授は、150人の刑事法研究者の反対声明を紹介。「法案は、18歳、19歳の者に必要な少年法による適切な保護を与えず、逆に不必要な処罰と厳罰化により社会復帰を阻害するものである。法案の内容は過去の提案とは異なり、少年法の適用年齢を引き下げるものではないが、過去の提案と問題点を色濃く継承しているもので、整合性に欠く法律案である」と法案に強く反対した。
吉田弁護士は、3月に発表した「『特定少年』新設にかかわる少年法『改正』反対意見書」を紹介し、「18・19歳少年の『立ち直り』に支障をもたらし、再犯リスクをまねくので、改正する必要はない。とくに、少年法の資格制限排除規定を適用除外することは、18・19歳少年のやり直す機会を奪う」と指摘した。さらに「改正案で、『犯情』が書き込まれたので、18歳未満の少年に対する調査や鑑別にも影響をあたえ、少年法の目的が保護主義から犯情主義へ変容する」と批判した。
同法案は、今月中にも衆議院法務委員会で採決された後本会議で可決され、参議院へ送られる勢いである。
(2021年04月09日公開)