3月25日、18歳と19歳を「特定少年」とする少年法等の一部を改正する法律案が、衆議院本会議で審議入りした。これに先立って24日、葛野尋之、武内謙治、本庄武各氏など刑事法研究者が、「少年法等の一部を改正する法律案」に反対する声明を公表した。3月29日現在、呼びかけ人28人、賛同者120人、合計148人となっている。
声明では、法律案は少年法適用年齢自体を引き下げるものではないが、過去の提案の問題点を色濃く承継するもので、「法律の体系としての著しい不整合をもたらすだけでなく、18歳および19歳の者に必要な少年法による適切な保護を与えず、逆に不必要な処罰と厳罰化により社会復帰を阻害する点で刑事政策上の困難をもたらす」と強く反対する。
そして、国会での審議に求められるのは、「18歳と19歳の少年がいかなる存在で、その非行がどのような性格のものなのかを直視し、少年にふさわしい扱いをする制度を講じることである」としている。
なお、刑事法研究者は、過去2度にわたって少年法適用年齢の引き下げに反対する声明を公表している。
・「少年法適用対象年齢の引下げに反対する刑事法研究者の声明」(2015年8月1日)
・「少年法適用の上限となる年齢を引き下げるための法改正を行うことに反対する刑事法研究者の声明」(2018年11月16日)。
【呼びかけ人】(*は事務局)
赤池一将(龍谷大学教授)
石塚伸一(龍谷大学教授)
上野正雄(明治大学教授)
内田博文(九州大学名誉教授)
大出良知(九州大学・東京経済大学名誉教授)
岡田行雄(熊本大学教授)
川﨑英明(関西学院大学名誉教授)
*葛野尋之(一橋大学教授)
斉藤豊治(甲南大学名誉教授)
佐々木光明(神戸学院大学教授)
白取祐司(神奈川大学教授)
*武内謙治(九州大学教授)
土井政和(九州大学名誉教授)
中川孝博(國學院大學教授)
新倉修(青山学院大学名誉教授)
服部朗(愛知学院大学教授)
浜井浩一(龍谷大学教授)
平川宗信(名古屋大学名誉教授)
渕野貴生(立命館大学教授)
*本庄武(一橋大学教授)
前野育三(関西学院大学名誉教授)
前田忠弘(甲南大学教授)
正木祐史(静岡大学教授)
松宮孝明(立命館大学教授)
丸山雅夫(南山大学教授)
三島聡(大阪市立大学教授)
村井敏邦(一橋大学・龍谷大学名誉教授)
山口直也(立命館大学教授)
以上
(2021年03月30日公開)