2020年10月10日は「世界死刑廃止デー」である。
世界死刑廃止デーは、世界死刑廃止連盟(WCADP、本部=パリ)が、2003年に定めたもので、毎年、この日を中心に、世界各地で死刑廃止のためのイベントや死刑廃止国政府からメッセージの発信が行われる。特定非営利活動法人CrimeInfoと死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム’90のイベントを紹介する。
今年の廃止デーのテーマは、「弁護士へのアクセス:生と死の分かれ目」(Access to counsel: A matter of life or death)である。「弁護士へのアクセス」の要請は、単に弁護士にアクセスできれば充たされるというものではない。重要なのは、弁護士から、弁護人としての「効果的な援助」を受けることである。死刑に直面する人々にとっては、弁護士へのアクセスが、まさに「生と死の分かれ目」になるからである。
現在、全ての罪に対して死刑を廃止した国106、通常の犯罪で死刑を廃止した国8、事実上の死刑廃止国28で、死刑存置国は56である。周知のとおり、日本は存置国に入る。
日本の2019年の死刑執行は3件である。弁護人によると、1人は再審請求していた。3年連続で再審請求中に死刑が執行された。
なお、日本で現在、死刑廃止と終身刑導入の是非が議論されている。龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報9号で、特集「米国ワシントン州における死刑・終身刑調査(2019年3月)──死刑廃止と仮釈放のない終身刑」が掲載されている。
米国ワシントン州は、1993年に仮釈放のない終身刑(LWOP)を導入し、その後、死刑執行は年に1人にとどまり、2011年以降は0という事実上の死刑執行停止の状態にあった。2018年10月11日の米国ワシントン州最高裁判所の判決で、事態は大きく変わった。この判決は、死刑制度自体は州憲法に違反しないが、死刑は「人種的に偏った方法で科されているため無効」であるとの判断をくだした。これによって同州の死刑は廃止された。
この調査の目的は、「終身刑導入から、死刑執行停止を経て、裁判所の決断によって、死刑を廃止した米国ワシントン州における死刑廃止後の終身刑の実態」について、民間団体、州議会、法曹関係団体などで聞取り調査することである。死刑廃止と縮減を考えるうえで貴重な資料となろう。
○特定非営利活動法人CrimeInfo(クライムインフォ)は、「永山子ども基金」代表で『それでも彼を死刑にしますか──網走からペルーへ 永山則夫の遥かなる旅』などの著者、大谷恭子弁護士をゲストに迎えて、世界死刑廃止デー企画を開催する。まさに国際死刑廃止デーのテーマと同じである。
・日時:10月9日(金)18時~19時 Zoomにて
・テーマ:大谷恭子さんと語る『弁護士へのアクセス:生と死の分かれ目』
・申込み方法:メールにて、info@crimeinfo.jpまで、タイトルに「10日9日参加希望」と入れて申し込む。
その際に、お名前(必須)とご所属(任意)、大谷恭子弁護士へのご質問やお聞きになりたい話などの希望も添えてください(任意)。
後日、ZOOMのIDとパスワードを事務局より送信。
詳細:https://www.crimeinfo.jp/notes/2020/09/17_4324/
○死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム’90は、イベント「響かせあおう死刑廃止の声2020」を開催する。
・スペシャル・トーク「いのちの選別と死刑」
雨宮処凛(作家)さん、森達也(映画監督)さん
・日時:10月10日(土)13時(開場12時)~17時(インターネットでも同時中継)。
・場所:四谷区民ホール(東京都新宿区内藤町87 電話:03-3351-2118)
地下鉄丸の内線新宿御苑前2番出口より徒歩5分
アクセス https://shinjuku.hall-info.jp/yotsuya/access.html
・入場券:当日/1200円 前売/1000円(25歳以下は入場無料)
前売券の申込みは、http://forum90.net/へ。
・また、例年通り当日は死刑囚表現展の選考委員による公開講評と今年の応募作品を展示する(コロナ禍に鑑み、点数を減らして展示)。
全点の展示は、10月23日(金)~25日(日)、松本治一郎記念会館にて。
以上
(2020年09月28日公開)