『神山弁護士の刑事弁護講座(基礎編)』の全講座終了/その動画をオンラインで、7月配信予定


 6月13日、神山弁護士の刑事弁護講座の【量刑事件の弁護(演習)】がオンラインで行われた。これで、3月26日の【否認事件の弁護(講義)】からはじまった講座が無事終了した。

 講座は、【否認事件の弁護】と【量刑事件の弁護】で、それぞれ講義と演習各1回ずつ全4回であった。【否認事件の弁護】の演習(4時間)は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、日程が変更されるとともに、オンラインでの演習に切り替えられた。その後、感染状況はやや好転したが、感染防止のため、【量刑事件の弁護】の全講座はオンライン講座となった。

 【量刑事件の弁護】のオンライン演習の事例は、強盗被告事件であった。はじめに受講者全員で獲得目標(ケース・セオリー)、この事件では執行猶予を確認した。その後、捜査、公判準備、公判の各段階で、どのような弁護活動をするのかを講師から各受講者に問いながら双方向で進んだ。

 捜査弁護では、量刑事件でも黙秘は必要かどうかが問われた。また、事件現場に必ず足を運ぶことが被疑者とのコミュニケーションを豊かにすることに役立つこと、さらに執行猶予をとるためには身体拘束から解放の必要性が強調された。公判準備段階では、起訴後すぐに必要な証拠開示を検察官に必ず求めること、その方法として任意開示が有効であること、証拠意見を的確に出すことなどの指摘があった。

 公判段階では、被告人質問先行型の弁護活動の意義が説明された後、受講者がそれを実践した。また、検察官の論告を予想して、自分で実際に論告を書いてみることは必須であること、そうすれば弁護側の最終弁論の弱点、主張すべき点がはっきりしてくることが浮き彫りにされた。

 後半はこの演習の核をなすものであった。被告人に「有利な事実」「不利な事実」を各受講者が発言してそのメモを白板に掲示し、それぞれの事実について分析、ディスカッションした。この手法は、現在司法研修所の刑事弁護研修で行われているもので、事件を受任したら、是非実践することを神山講師は薦めた。最後に、最終弁論を受講者が実践して演習は終了した。

 講義を終了するにあたって、講師の神山啓史弁護士は、「刑事裁判は、裁判員裁判導入以降、文字通り公判中心主義を実現するにいたった。それに対応して、ケース・セオリーを確立した刑事弁護が必須となっている。しかし、導入10年余りたったいま、各弁護士会での研修がやや不十分になっている傾向がみられる。今日した形の刑事弁護研修を全国各地の単位会でやって欲しい」と結んだ。

 刑事弁護オアシスでは、高野隆・後藤貞人両弁護士の「最高の法廷技術を学ぶ」に続く第2弾として、『神山弁護士の刑事弁護講座(基礎編)』の講義(有料)を、7月20日から配信予定である。

(2020年06月16日公開)


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