第14回死刑映画週間、2月8日から始まる、『正義の行方』『死刑台のメロディ』など上映


 

 日本の死刑制度について考える懇話会(座長:井田良・中央大学大学院教授)は、昨(2024)年11月、報告書を公表し、衆参両院議長と内閣総理大臣に手渡した。同報告書は、国会と内閣に対して死刑制度に関する根本的な検討をする公的な会議体を設置することを提言する。今年は、死刑制度について大きな動きが予想される。

 そんな中、「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム’90」主催の第14回死刑映画週間が、東京・渋谷のユーロスペースで、2月8日(土)から始まる。今年は、『死刑台のメロディ』『正義の行方』『異邦人』など7作品を上映する。同時にイベントもあり、作家・活動家の雨宮処凛さん、『正義の行方』監督の木寺一孝さん、ブロードキャスターのピーター・バラカンさんらがゲストスピーカーとして出演する。

◯公開日:2月8日(土)~14日(金)

◯入場料金:
 一般1,500円/大学・専門学校生1,300円/会員・シニア1,100円/高校生800円(オンラインは900円)/中学生以下500円(オンラインは600円)

◯上映時間:
 ・2月8日(土)11:00『死刑台のメロディ』/13:35『処刑前夜』/16:30『流麻溝十五号』/18:45『正義の行方』
 ・2月9日(日)11:00『異邦人』/13:10『月』/16:45『衝動殺人 息子よ』/19:15『処刑前夜』
 ・2月10日(月)11:00『月』/13:50『異邦人』/16:00『死刑台のメロディ』/18:40『衝動殺人 息子よ』
 ・2月11日(火)11:00『流麻溝十五号』/13:20『正義の行方』/17:00『処刑前夜』/19:05『月』
 ・2月12日(水)11:00『正義の行方』/14:00『死刑台のメロディ』/16:35『異邦人』/18:45『流麻溝十五号』
 ・2月13日(木)11:00『処刑前夜』/13:10『衝動殺人 息子よ』/15:50『正義の行方』/18:55『異邦人』
 ・2月14日(金)11:00『衝動殺人 息子よ』/13:30『流麻溝十五号』/15:45『月』/18:35『死刑台のメロディ』

◯前売り券:5回券4,500円/3回券2,800円/1回券1,000円[劇場窓口にて販売中(2月7日まで)]

◯イベント情報
 ・2月8日(土)13:35『処刑前夜』上映後トーク
  ゲスト:重信房子(著述業)
 ・2月9日(日)13:10『月』上映後トーク
  ゲスト:雨宮処凛(作家・活動家)
 ・2月10日(月)18:40『衝動殺人 息子よ』上映後トーク
  ゲスト:竹田昌弘さん(共同通信編集委員)
 ・2月11日(火)13:20『正義の行方』上映後トーク
  ゲスト:木寺一孝(映画監督)
 ・2月12日(水)18:45『流麻溝十五号』上映後トーク
  ゲスト:銭建栄(台湾弁護士・元最高裁判事)、林欣怡(台湾死刑廃止連盟代表)
 ・2月13日(木)18:55『異邦人』上映後トーク
  ゲスト:太田昌国(評論家)
 ・2月14日(金)18:35『死刑台のメロディ』上映後トーク
  ゲスト:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

◯作品紹介
 A 『死刑台のメロディ』(1971年/イタリア・フランス/133分)
 脚本・監督=ジュリアーノ・モンタルド。音楽=エンニオ・モリコーネ。出演=ジャン・マリア・ボロンテ、リッカルド・クッチョッラ
【物語】1920年代のアメリカで実際に起こった冤罪事件「サッコ=バンゼッティ事件」の裁判を描いた作品。イタリアからの移民が密告により、身に覚えのない強盗犯の疑いで不当に逮捕され裁判にかけられた。そして死刑判決が……。

 B 『処刑前夜』(1961年/日本/102分)
 監督=滝沢英輔。編著=北山河=北さとり(カッパブックス)。出演=川地民夫、浅丘ルリ子 
【物語】「被告高村勇を死刑に処する」という裁判官の宣告に、母と妹は泣き崩れた。勇は死刑執行に恐怖を覚え、平静な心を得るため俳句を始める。死刑囚の俳句を北山河・北さとりが編著した「処刑前夜」を映画化した。

 C 『流麻溝十五号』(2022年/台湾/112分)
 監督・脚本=周美玲。出演=余佩真、連兪涵、徐麗旻
【物語】1953年の台湾、自由を口にするものは政治犯として捕まる弾圧の時代。教育・矯正と称して思想改造のため緑島に収監された女性たち。囚人として「新生調導処」に監禁・重労働を課せられる日々を余儀なくされていた。

 D 『正義の行方』(2024年/日本/158分)
 監督=木寺一孝。制作統括=東野真。撮影=澤中淳
【物語】1992年に福岡県で2人の女児が殺害された。自白も確たる証拠もなく犯人とされた久間三千年は、2006年に最高裁で死刑確定、早くも2年後の2008年に死刑執行。この「飯塚事件」で立場を異にする当事者たちが語るドキュメンタリー。

 E 『異邦人』(1967年/イタリア・フランス・アルジェリア/104分)
 監督=ルキノ・ヴィスコンティ。原作=アルベール・カミュ。出演=マルチェロ・マストロヤンニ、アンナ・カリーナ
【物語】「きょう、ママンが死んだ。」この冒頭が有名なカミュの「異邦人」。これをイタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティが映画化した。第二次大戦前、アルジェに住む一市民のムルソーの母が養老院で死ぬところから物語は始まる。

 F 『月』(2023年/日本/144分)
 監督・脚本=石井裕也。原作=辺見庸(角川文庫刊)。出演=宮沢りえ、磯村優斗、二階堂ふみ、オダギリジョー
【物語】2017年に発表された辺見庸の小説「月」は、実際に起きた障がい者殺傷事件を題材にした作品。書けなくなった作家の堂島洋子は、深い森の奥にある重度障がい者施設で新しく働くことになり、重度のきいちゃんと出会う。

 G 『衝動殺人 息子よ』(1979年/日本/130分)
 監督・脚本=木下恵介。脚本=砂田量爾。撮影=岡崎宏三。出演=若山富三郎、高峰秀子、田中健
【物語】理由なくして息子を殺された父親の無念の想いは、やがて国を動かし、法律をも変えていく。1978年『中央公論』3月号に掲載された佐藤秀郎のノンフィクションを映画化。若山富三郎はこの年の映画主演男優賞を総なめにした。

(2025年01月20日公開)


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