11月24日、グループK 公演 『反骨』(袴田事件)が大盛況のうち千秋楽を迎えた


公演風景(2024年11月24日、スタジオあくとれ)

 グループKによる 第17回公演 『反骨』(作・演出:香川耕二)が、2024年11月20日より「中野スタジオあくとれ」(東京・中野)にて行われていたが、同月24日、その千秋楽公演を迎えた。

 袴田巖さんが逮捕されてから無罪判決を勝ち取るまでに58年の年月を要した。2時間の公演時間でどのように、袴田事件を描くのか。

 ちゃぶ台を囲む袴田さんと姉の袴田ひで子さんの会話から舞台が始まった。静岡県清水市で味噌製造会社専務の一家4人が殺害されて金品を奪われ、家に放火された事件について、巖さんが警察から疑われている、話をしたら無実であることをわかってくれるはずと。そこから、苛烈な取調べ、死刑判決、再審開始決定と目まぐるしく舞台が切り替わっていく。俳優の鬼気迫る演技に釘付けになった。

 「反骨の人」袴田巖さんを、この冤罪事件に関わった人たちを2時間で熱量を持って緻密に描き切った。袴田事件は無罪判決が確定したが、この事件の根っこにある冤罪の問題はまだまだ残っている。巖さんとひで子さん、関係者の方々の苦労が活かされる社会になるためにも、袴田事件を忘れてはならないと感じ帰路についた。「反骨」のリバイバル公演が待ち望まれる。

舞台が無事終わった後撮影したキャスト集合写真。中央が演出・作を手がけた香川耕二さん(2024年11月24日、スタジオあくとれ)

 グループKの主催であり、「反骨」の演出・作を手がけた香川耕二さんにインタビューを行った。

——どうして袴田事件を舞台のテーマとして取り上げたのでしょうか?

香川 グループKの初演のテーマは「松山事件」でした。その初演から置き去りにされていた人権問題をもう一度、「袴田事件」の58年を通して検証したいと思い企画しました。今年1月、浜松支援クラブの猪野待子さんを通して袴田ひで子さんへの取材から始まり支援者の集会参加、支援者の山崎俊樹さんと清水の事件現場を巡りながらの取材を経て9月初旬に脚本が完成しました。テーマは「正義と反骨の58年」です。

——劇で表現する上で難しかった点や苦労した点はありますか?

香川 58年の歴史的事実を基本に文献確認、人物エピソード等の取材を重ね、フィクションの登場人物を織り交ぜながら物語をデフォルメさせていく点に苦労しましたね。

——観客の反応はいかがでしたか?

香川 「あらためて、袴田事件を細部からともに検証しながら物語を楽しめた」とのお言葉を数多く頂きました。

——巖さん、ひで子さんへのメッセージをお願いします。

香川 今年1月、浜松のご自宅で取材させていただき、幼い頃の思い出、御家族の思い出等々、そして、僕の公演趣旨を真剣に聞き入れていただきました。笑顔で送り出していただいた帰り道、ふつふつと創作意欲が溢れだしたことを今もはっきりと思い出します。あれから8か月、取材を頼りに無我夢中で作劇活動に精進し、多くの方々に支えられ大盛況のうち千秋楽を迎えました。ありがとうございます。これからも、再審法改正に向けてご尽力なされることと思います。僕も出来る限り応援させて頂きます。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

(さ)

(2024年12月02日公開)


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