11月1日(金)、金沢市内の金沢東急ホテルで、日本弁護士連合会主催の第16回国選弁護シンポジウムが開催された。会場には全国から250名の弁護士が集まり、Web参加を含めると580名が参加した。
当初、能登半島地震の影響で開催が危ぶまれていたが、地元の金沢弁護士会は現地の実情を理解いただけるいい機会にもなると開催に向けて全力で準備し、実現に漕ぎ着けた。
今回のテーマは、「横にはいつも弁護人〜取調べの立会い・逮捕から国選弁護」で、第1部「弁護人の取調べへの立会い」と第2部「逮捕段階の国選弁護制度」の2部構成であった。
はじめに、同シンポジウム実行委員会事務局長の髙見健次郎弁護士(金沢弁護士会)より、問題提起がなされた。その中で、「(被疑者の)資力にかかわらず、逮捕段階から弁護人をつけることは、社会的インフラである」と被疑者国選弁護制度の意義を強調した。
日弁連は、取調べの可視化(録音・録画)は進展してきたが、それだけでは、違法な取調べは抑制できないとして、弁護人の立会いを求めている。第1部では、弁護人立会いの現状とその法制化への道筋を議論した。
まず、プレサンス事件、大川原化工機事件、江口事件などで裁判に提出された実際の取調べの録画映像が上映された。その後、櫻井義也(愛知県弁護士会)から障害がある被疑者の立会い、林順敬(札幌弁護士会)から過失運転致傷事件における準立会いの実践報告がそれぞれあった。最後に、パネルディスカッションが行われた。
現在、被疑者国選弁護制度は勾留段階からで、逮捕段階ではいまだ実現していない。第2部は、それを逮捕段階まで拡大するためにどうしたらよいか、現状報告するとともに、国選弁護報酬問題について検討した。
同シンポジウム実行委員会委員長の奥村回弁護士(金沢弁護士会)は、シンポジウムの最後に挨拶して、「この2つのテーマ(弁護人の立会いと逮捕段階の被疑者国選弁護)は必ず実現すべきであるし、必ず実現する。このことを参加者全員で共有したい」と決意を新たにした。
同シンポの「基調報告書」は、日弁連のサイトから閲覧・ダウンロードできる。
なお、取調べ可視化については、「ミスター可視化」の小坂井久(大阪弁護士会)が編集した『取調べの可視化 その理論と実践——刑事司法の歴史的転換点を超えて』がある。
(2024年11月11日公開)