9月26日、袴田事件弁護団、判決言渡し後、静岡地検に控訴しないよう申し入れ


判決言渡し後の記者会見で、発言する小川秀世・弁護団事務局長(左)と袴田巖さんの姉・秀子さん(右)(2024年9月26日。静岡市民文化会館3階会議室。写真撮影:刑事弁護オアシス編集部)

 9月26日、午後2時、静岡地裁(國井恒志裁判長)は、再審公判で袴田巖さん(88歳)に対して、無罪判決を言い渡した。死刑再審での無罪は、免田、財田川、松山、島田各事件につぐ5度目である。

 袴田さんは、1966年6月に静岡県清水市(現・静岡市清水区)で味噌製造会社の専務一家4人を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われ、1980年に死刑が確定していた。

 國井裁判長は、冒頭で捜査機関による証拠の捏造を、2014年の再審決定より具体的に認定した。①自白調書は肉体的・身体的苦痛を与えて得たもので、この作成に検察官も警察と連携していた、②「5点の衣類」は捜査機関が血痕を付けるなどの加工をして隠した、③5点の衣類の一つであるズボンから切り取られとされる端切れが捏造された──と言及した。

 証拠捏造に具体的に踏み込んだ判断が、検察の控訴決断を促すのではないかと危ぶむ声も聞かれる。

 袴田事件弁護団は、判決公判が終了して直ちに、静岡地方検察庁に出向いて、担当検察官に控訴しないよう申し入れた。

 事務局長の小川秀世弁護士は、記者会見で、申入れの模様をつぎのように語った。

 「以前、検察官は公益の代表者として、審理に協力するとして検察官手持ち証拠の開示を積極的に行ったが、今回の無罪判決を受けて、このように長い裁判に決着をつけることが、公益の代表者としての検察官としての英断である」。

 しかし、面談した検察官は控訴するかどうかは、上級庁に問い合わせるとして即答を避けたという。

 今後も弁護団は、検察が控訴期限の10月10日を待たずに、上訴権を放棄するよう、東京高検への申し入れするなど活動を強める。

(2024年09月27日公開)


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