9月19日、再審法の改正をめざす市民大集会が、東京で開催/冤罪では、裁判官の責任が重大、そして再審法改正が急務


集会の最後に、参加者全員で、再審法改正の早期の実現を訴えて終了した。2024年9月19日、日比谷公園大音楽堂(東京・千代田区、写真撮影:刑事弁護オアシス編集部)。

 袴田事件の再審判決が9月26日と迫った19日、再審法の改正をめざす市民集会(「今こそ変えよう! 再審法〜カウントダウン袴田判決」)が日比谷公園大音楽堂(東京都・千代田区)で開かれ、冤罪被害者や支援者、国会議員ら2,500人が集まった。集会は、日本弁護士連合会と再審法改正をめざす市民の会が企画した。

 再審は冤罪救済のための法制度であるが、現行法では袴田事件などにみられるように救済までに長期間かかっている。そのため、市民の会などは、①再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、②再審請求審における証拠の全面開示、③再審請求審における審理手続の明文化、を求めている。

 集会では、お笑い芸人の「せやろがいおじさん」が動画で、この再審法の不備にわかりすく切り込んだ。

 第1部「袴田巖さんへの支援メッセージ」では、日弁連再審法改正実現本部本部長代行の鴨志田祐美弁護士が、2024年3月に発足した「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」の入会議員数は現在、全国会議員の49%、347名に達したことを紹介した。そして、「法務省や検察は改正に消極的である。その岩盤を打ち砕くには賛同議員をもっと増やす必要がある。みなさんの声を政治に届けて、遅くとも来年の通常国会で再審法改正の実現を」と改正の見通しを示した。

 また、袴田巖さんの姉・ひで子さんは「47年、巖はがんばってきた。その力が再審法の改正に結びつくことを願う」と語った。

 袴田事件の支援をしている中川真緒さん、櫻井昌司さんの支援者の宇野朱音さん、イノセンスプロジェクトジャパン学生ボランティアの佐藤和さんらが駆けつけて、それぞれ冤罪についての出会いを語った。中川さんは、自身のブログ「清水っ娘、袴田事件を追う」で、袴田事件について、地元の動きを追っている。

 第2部「再審を語り、再審法改正を訴えよう」の「古舘伊知郎さんと再審のリアルを語り倒そう!」は、司会の古舘伊知郎さんが「今、自民党の総裁選でメディアが大騒ぎしているが、総裁選の前日の袴田判決にも注目しよう」と言って、はじまった。

 そこでは、稲田朋美衆議院議員(自民党)は、「現在の再審法では、再審開始まで十数年も人生を棒に振ることを迫られている。人間は間違うことがある。そのことを謙虚に受け止めるが本当の保守である。再審法の不備を改めたい」と力を込めた。

 さらに、市民の会の共同代表である周防正行映画監督は、「再審でも、えん罪の温床である人質司法でも、最終判断は裁判官がしている」と、検察官ばかりでなく裁判官の責任についてもあらためて考える必要があること強調した。

 この日の集会は、最後に参加者全員で、袴田さんの無罪と再審法改正の早期の実現を訴えて終了した。

(2024年09月24日公開)


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