日本弁護士連合会は、2024年9月4日(水)18時より、取調べの可視化フォーラム2024「大川原化工機事件に学ぶ〜全ての取調べに録音録画を」を、会場とオンラインのハイブリッドで開催する。
警視庁公安部は、2018年10月、大川原化工機の会社や社長宅に対して捜索を実施。会社関係者に対する47名、291回に及ぶ取調べ、社長らの逮捕を経て、東京地検は外為法違反で社長らを起訴。逮捕・勾留は11か月にわたった。ところが、捜索から約3年、事件は突然の起訴取消しで終わった。そもそも犯罪は存在しなかった。
大川原化工機事件の弁護人である髙田剛弁護士は、取調べの可視化問題について、刑事弁護オアシスのインタビューで、つぎのように話された。
「この事件では、結果的にいいように調書を取られてしまった部分があります。………都合のいい調書や嘘の調書が取られることを、どうやって事前に食い止めるかが刑事弁護にとって重要となります。
また、任意の段階で取り調べられる皆さんは、メモも取れないし、録音もできません。そういう中で『おまえ、前回、こう言っただろう』と言われ、調書にサインさせられます。メモも録音もないから確認もできず、その場その場でやりとりした結果、不本意な調書を取られてしまう人たちがたくさんいます。この点は是正されるべきではないでしょうか。……今、日弁連でも取調べの可視化に取り組んでいますが、任意の段階から弁護士の立会いが認められれば、少なくとも捜査側にいいように騙されたり、脅されたりすることはなくなるでしょう。今後、取調べに弁護士が立ち会えるようになれば、冤罪は大きく防止できるのではないでしょうか」。
このフォーラムでは、大川原化工機事件の当事者や弁護人が出席し、なぜ存在しない犯罪の証拠が生み出されたのか、密室の取調室で何が起きたのか、何が会社やあなたの身を守るのか、などをじっくり学ぶことができる。
なお、今年6月、小坂井久編集『取調べの可視化 その理論と実践 ――刑事司法の歴史的転換点を超えて』が出版されている。
取調べの可視化実現に向けて先頭を走ってきた、「ミスター可視化」小坂井久弁護士の古稀を祝うため、ともに活動し学んできた弁護士や研究者たちが集まった論集。小坂井弁護士自らが書き下ろした50頁を超える論攷や座談会で、可視化の歴史を概観。さらには「理論」「実践」「事件紹介」に至るまで、取調べの可視化の到達点と今後の課題までを論じ尽くしている。
◯テーマ:取調べの可視化フォーラム2024「大川原化工機事件に学ぶ〜全ての取調べに録音録画を」
◯日時:2024年9月4日(水)18:00〜20:00(開場17:45)
◯会場・開催方法
【会場参加】弁護士会館2階講堂「クレオ」ABC(東京都千代田区霞が関1-1-3)
【オンライン配信】Zoomウェビナー
◯参加費・受講料:無料
◯申込方法:会場参加(定員300名)・オンライン配信とも事前申込(9月2日まで)。こちらから、お申し込みください。
※会場参加は定員になり次第、締切る。
*オンライン配信の視聴URLと配布資料は、当日までにeメールで案内。
◯プログラム:
【第1部/事例報告・大川原化工機事件】
髙田剛(弁護士)
島田順司(当事者・大川原化工機株式会社取締役)
【第2部/パネルディスカッション】
髙田剛(第1部事例報告者)
大川原正明(大川原化工機株式会社代表取締役社長)
島田順司(第1部事例報告者)
粟野仁雄(ジャーナリスト)
前田裕司(弁護士)
嶋田葉月(弁護士)※進行役
◯チラシはこちら。
◯主催:日本弁護士連合会
◯共催:東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会
◯問合せ先:日本弁護士連合会 法制部法制第二課
TEL:03−3580−9944
(2024年08月30日公開)