第4回夏のオンライン高校生文学模擬裁判交流大会で、
江⼾川学園取⼿⾼等学校が初優勝


 8月10日(土)に、「第4回夏のオンライン高校生文学模擬裁判交流大会」が、龍谷大学札埜研究室、オンライン⾼校⽣⽂学模擬裁判交流⼤会実⾏委員会の主催で、zoomで開催された。

 今回の模擬裁判のテーマは、森鷗外『⾼瀬⾈』で、全国から6校が参加し、熱戦が繰り広げられた。優勝したのは江⼾川学園取⼿⾼等学校(茨城県)で初、準優勝は済美平成中等教育学校(愛媛県)でこちらも初であった。

 優勝した江戸川学園取手は基本に忠実な尋問であった。主質問はオープンで時系列に一問一答の短文を積み重ね、反対尋問では明確な獲得目標を持ちながらクローズで切り込んでおり、弁論も質問・尋問で引き出した証拠を確実に利用するなど堅実さが光った。試合に向けての準備期間に海外研修が重なり、時間があまりなかったそうだが、ポテンシャルや今後の更なる成長の可能性を感じた。

 済美平成はこれまでの経験の集大成としての準優勝だった。昨年夏、冬、今年3月の岡山での交流試合と、実践を積み重ねてきた。担当教員によれば、試合ごとに、必要な視点、姿勢を学び取り、その学びや過去の模擬裁判での課題を生かそうとする生徒の素直さ、真面目さの賜物とのことであった。昨年から活動を引っ張ってきた上級生2人が「今回が最後と決めていたので、最後に生徒たちの頑張りが形になって、本当に嬉しく思います」と述べられていた。模擬裁判への真摯な姿勢から、愛媛ひいては四国の王者になる日も近いであろう。また3名で準備を行い、当日は1名が参加できず2人で出場した札幌龍谷学園(北海道)の健闘ぶりも印象深い。

 今回は得点が僅差で、試合の展開次第ではどこが優勝してもおかしくない大会であった。結果はもちろん大事なことではあるが、大会の趣旨として「人間や社会への眼差しを深める文学模擬裁判」ゆえ「18歳からの裁判員を見据えつつ、『勝敗だけでなく、教材の持つテーマについて参加者全員が対話して市民性を養い、問題意識を深める』場」としているので、森鷗外『高瀬舟』が現代社会に問いかけることをぜひ今後深めて、考えを熟成させていってほしいと願う。

(2024年08月23日公開)


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