龍谷大学犯罪学研究センターの法教育ユニット長である札埜和男准教授(龍谷大学文学部)が、法教育ユニットの活動として、2023年12月17日(日)に「第4回オンライン高校生文学模擬裁判選手権」をZoomで開催する。
今回の模擬裁判では、松本清張『相模国愛甲郡中津村』『不運な名前』の2冊をモチーフとし、「熊坂長庵」に焦点を当て、通貨偽造罪・同行使罪の有罪か無罪かを争う。文学を題材にしたひと味違った模擬裁判に高校生が挑戦する。後援を務める同センターでは、模擬裁判の傍聴人(観覧者)を募集している。
本大会のねらいについて、札埜准教授は、つぎのように語る。
「今回は松本清張『相模国愛甲郡中津村』、『不運な名前』をモチーフとした教材を基に、通貨偽造罪・同行使罪を争います。当初は他の小説に決めていました。その気持が覆ったのは6月です。方言調査で北海道月形町を訪れ、教育委員会の方の案内で、囚人墓地に葬られた『熊坂長庵』を知りました。囚人の犠牲の上に開拓された北海道の負の歴史、ゲルマン贋札事件で逮捕された冤罪被害者・熊坂長庵を学べば学ぶほど、多くの高校生に学んでほしいという思いと、伝えなければという衝動に駆られ、ある程度義務感で創り上げました。北九州・松本清張記念館、月形・樺戸博物館、彦根・国立印刷局、大阪・造幣局、長庵の故郷・神奈川県愛川町など現地取材を重ねて出来た教材です。近代国家誕生の頃は贋札造りが盛んな時代でした。『福澤諭吉』が引退し『渋沢栄一』がデビューする来夏を見据え、明治という時代の混沌を想像しながら、通貨偽造・行使の罪になるのか否か問いつつ、『お金』を通して人間や社会について考えてもらえたらと思います。このたび銅版印刷(株)代表の鈴木聡氏には事前講義や資料提供で多大なご協力を頂きました。事件を考えるにあたっては銅版印刷の文化を学ぶ必要があります。法的思考を基盤に、歴史や文化の知識も駆使しながら教材を読み解いた上で、どんな訴訟活動を展開するか、夏の大会の『坂田山心中事件』以上に横断的想像力や思考力を働かせなければならない教材となっています」。
○テーマ:第4回オンライン高校生文学模擬裁判選手権
○日時:2023年12月17日(日)9:40〜16:30(終了見込)
○実施方法:ZOOMによるオンライン(参加者は自宅等から出場)
◯模擬裁判の傍聴(観覧):無料 要事前申込み
◯申込み方法:申込みはこちらから。締切は、12月16日(土)正午まで!
*開催前日の17:00頃、Zoom情報がメールで連絡される。
○出場校(7校・1団体):順不同
宮城県宮城野高等学校(宮城県)
中央大学杉並高等学校(東京都)
神戸女学院高等学部(兵庫県)
神戸海星女子学院高等学校(兵庫県)
創志学園高等学校(岡山県)
済美平成中等教育学校(愛媛県)
愛光高等学校(愛媛県)
九州高校生有志連合チーム
○競技方法:
参加校は、予め配布される文学教材や関連資料をもとに、検察側・弁護側それぞれの立場に立って立証・弁護活動を行う。シナリオ創作型の模擬裁判である。
参加校は決められた時間に従い、立証・弁護活動を行い、審査員がそれらの内容を評価して、その総合点で勝敗を決める。参加校は検察側・弁護側両方の立場で模擬裁判を行うことになる(午前中の試合で検察側を担当したチームは、午後弁護側を担当する。逆に、午前中の試合で弁護側を担当したチームは、午後弁護側を担当する)。総合点の高い順から優勝校・準優勝校・第3位を決める(予定)。
○採点基準:読解力、人間や社会への洞察力、論理性、表現力等の視点から採点する。
○当日のスケジュール(予定)
9:30 Zoom入室開始(各自宅等でスタンバイ)
9:40 開会式、出場校紹介、選手宣誓
10:00 対戦校及び立場(検察側・弁護側)の発表、各法廷Zoomへ移動
10:30〜12:20 第1試合
12:20〜13:20 昼休憩
13:20〜15:10 第2試合
15:40 講評
16:10 成績発表、表彰式
16:30 大会終了、振り返り交流会
○お問い合わせ
〒600‐8268 京都市下京区七条大宮東入大工町125-1
龍谷大学大宮キャンパス西黌129号室 札埜研究室宛
TEL. 075-343-3326 Eメール:fudafuda@let.ryukoku.ac.jp
○主催:龍谷大学札埜研究室・オンライン高校生文学模擬裁判選手権実行委員会
○後援:京都教育大学附属高等学校模擬裁判同窓会、龍谷大学犯罪学研究センター、矯正・保護総合センター刑事司法未来PJ、龍谷大学法情報研究会、刑事弁護オアシス
(2023年12月06日公開)