1990年代から2000年代にかけて、司法制度改革が課題になったころ、ごく普通の裁判を傍聴することが全国的に市民の間で盛んになった。それは、単に野次馬という域を超えて、市民が専門家のみで行われている裁判を監視していくという意味で、それは司法への市民参加の第1歩という意義もあった。裁判員裁判ができて、市民が直接、司法に参加することが実現したため、その目的も果たされたかもしれないが、裁判を市民の立場から外側から観ることの意義はいささかも薄れていない。さらに、裁判員になった市民が裁判を内側から見て発信することは司法への市民参加をより充実させることになる。
そうしたことをより支援しようと、大阪の市民団体“裁判員ACT”裁判への市民参加を進める会は、「裁判傍聴記・裁判員体験記」コンテストの作品を募集している。
内容は、民事、刑事を問わずすべての裁判を対象にした傍聴記と裁判員経験者の体験記で、優秀作品を顕彰することを通じて市民の司法への関心を高めるのが目的である。
募集するのは、傍聴記(一般と学生の2部門)と、裁判員の体験記。全体の最優秀賞1点に賞金10万円、各部門の優秀賞(計3点)に3万円がそれぞれ贈呈される。応募締切は、2023年12月31日(日)23:59必着である。
協賛団体の「刑事弁護オアシス」から、応募された方全員に、刑事弁護オアシス特製「無罪トートバッグ(写真)」が贈られる。
審査委員長の森野俊彦(元裁判官、弁護士)は、同コンテストの意義をつぎのように語る。
「市民が以前よりは刑事裁判を身近に受けとめるようになったものとして評価するが、最近、そこから一歩進めて、そうした感想なり意見を文章という形にして、法曹関係者へフィードバックすることや、裁判にこれから関心を持とうとする市民に知ってもらう、そして広く社会全般にも裁判のリアルを『伝える・共有する』ことが大事ではないかと思うに至ったのである。私が今回の企画に踏み切ったのは、そのことに尽きる。どうか、『見る、聞く、話す』より一歩進んだ、『書く・伝える・共有する』に多くの皆さんに挑戦していただきたい」。
“裁判員ACT(アクト)”裁判への市民参加を進める会は、裁判員制度が始まった2009年以来、市民が自分の問題として司法について考え、様々な問題解決に取り組む社会をめざしている。そのために、市民目線で裁判員制度を考え、司法への関心を深めるとともに、司法に市民の力を活かせるような場づくりを行っている。
【「裁判傍聴記・裁判員体験記」コンテスト応募作品募集の概要】
○テーマ:傍聴あるいは裁判員の体験を通じ、自分の感じたことを率直に書いて応募。
○部門:
・一般傍聴記
・学生傍聴記(中高生と大学生が対象)
・裁判員体験記
○募集期間:2023年1月吉日〜2023年12月31日(日)23:59必着
○応募方法:詳しくは、以下を参照ください。
https://osakavol.org/lecture/volunteer/actcontest231231.html
○審査方法:
・一次審査/審査委員5人(裁判員ACTのメンバーら)が最終審査に進む作品を選出
・最終審査/審査委員長・森野俊彦と委員2人(作家などを予定)が顕彰作品を決定
○賞
・一般傍聴記、学生傍聴記、裁判員体験記の各部門で優秀賞作品1点に賞金3万円を贈呈
・すべての部門で最も優れた最優秀賞作品1点に賞金10万円を贈呈
○入選発表:
・日程:2024年当初
・公表方法:入賞作はホームページで公表
○表彰式:
・日程:2024年3月
・場所:大阪市内
○主催:(福)大阪ボランティア協会“裁判員ACT”裁判への市民参加を進める会(担当:永井)
○協賛:刑事弁護OASIS
(2023年10月06日公開)