本作は、開発者の未来と権利を守るために、権力やメディアと戦った男たちの真実を基にした挑戦と戦いの記録である。簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発したプログラマー・金子勇を東出昌大が、著作権法違反幇助の容疑をかけられた開発者の不当逮捕を主張する弁護士・壇俊光を三浦貴大が演じる。

　2002年、開発者・金子勇は、簡単にファイルを共有できる革新的なソフト「Winny」を開発、試用版を「２ちゃんねる」に公開をする。彗星のごとく現れた「Winny」は、本人同士が直接データのやりとりができるシステムで、瞬く間にシェアを伸ばしていく。しかし、その裏で大量の映画やゲーム、音楽などが違法アップロードされ、ダウンロードする若者も続出、次第に社会問題へ発展していく。

　次々に違法コピーをした者たちが逮捕されていく中で、開発者の金子も著作権法違反幇助の容疑をかけられ、2004年に逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光は、「開発者が逮捕されたら弁護します」と話していた矢先、開発者・金子氏の逮捕報道を受けて、急遽弁護を引き受けることになり、弁護団を結成。金子と共に裁判で警察の逮捕の不当性を主張するも、第一審では有罪判決を下されてしまう……。

　なぜ、一人の天才開発者が日本の国家組織に潰されてしまったのか。

　2023年3月10日（金）より、TOHOシネマズほか全国で公開される。

◆作品概要
タ イ ト ル：『Winny』
出　　　演：東出昌大、三浦貴大、皆川猿時、和田正人、木竜麻生、池田大、金子大地、阿部進之介、渋川清彦、田村泰二郎、渡辺いっけい、吉田羊、吹越満、吉岡秀隆
原　　　案：朝日新聞 2020年３月８日記事（記者：渡辺淳基）
監督・脚本：松本優作
撮影・脚本：岸建太朗
制　　　作：映画「Winny」製作委員会（KDDI Libertas オールドブリッジスタジオ TIME ナカチカ ライツキューブ）
配　　　給：KDDI、ナカチカ
©2023 映画「Winny」製作委員会

＊Winny事件については、季刊刑事弁護に担当弁護士による、つぎの報告が掲載されている。

・秋田真志「著作権法違反幇助被告事件　Winny開発者に逆転無罪判決！——価値中立のソフト開発行為と幇助犯の成立範囲」季刊刑事弁護61号（2010年）119頁。

・秋田真志「著作権法違反幇助被告事件（最三小判平23・12・19平成21年（あ）第1900号）最高裁、Winny開発者に無罪」季刊刑事弁護70号（2012年）94頁。

・壇俊光「事例報告⑪　コンピュータ・ソフト動作実験　Winny事件」季刊刑事弁護71号（2012年）72頁。

（2023年02月23日公開)