取調べの可視化(録音・録画)は、現在、裁判員裁判対象事件、検察官独自捜査事件、知的障害者に係る事件、精神障害者等に係る事件の4類型について、検察・警察の取調べで実施されている。しかし、日弁連は「刑事訴訟法附則第9条に基づく3年後見直しに関する意見書」(2022年1月)の中で、取調べの適正保持や被疑者の権利・利益の保護のためには、4類型だけでは不十分として、さらに全事件・全過程の録音・録画を求めている。
2022年には、可視化法(刑訴法301条の2)が施行され3年経過した。その実施状況の検証や見直しをする「3年後検証」のため、法務省内に、「改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会」(以下、「協議会」という)が設けられた。
開催趣旨は、「刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)附則第9条により法務省が行う検討に資するため、同法による改正後の規定の施行状況をはじめとする実務の運用状況を共有しながら、意見交換を行い、制度・運用における検討すべき課題を整理する」というものである。
第1回会議は、2022年7月28日に開催され、その後、昨年のうちに、4回まで行われている。そこでは、捜査段階における検察・警察の取調べの録音・録画の実施状況と今後のあり方等についての議論が行われている。しかし、協議会の構成員の一人である刑事弁護関係の弁護士が提案した「取調べに関する問題事例」の検討について、個別事例は取り扱わないとするなど、議論の内容には消極的な傾向が否めない。今後、可視化が拡大する方向で議論されるかどうか不安が残るところである。
全国各地の弁護士会で、全事件・全過程の録音・録画の実現のために協議会の議論が深まることを求めて、市民集会を開催している。
○テーマ:取調べの全面可視化実現を求める市民集会 in 北海道・十勝
○日 時:2023年2月18日(土)13時30分〜16時
○プログラム:
・報告「取調べ可視化の現状について」………前田裕司(弁護士)
・インタビュー「可視化がない取調べの問題点について」………石川ともひろ(元衆議院議員)
・基調講演………江川紹子
○開催方法:会場とウェブ(YouTubeライブ配信)による開催。
YouTubeライブ配信は以下になります。
https://www.youtube.com/@kashika.obihiro.2023
○場 所:とかちプラザ1階・大集会室(帯広市西4条南13丁目1)
○参加費:無料
○申込方法:事前申込みは不要。どなたでも参加可。会場参加の場合、定員あり(先着順)
○主 催:釧路弁護士会
○共 催:日本弁護士連合会、北海道弁護士会連合会
○問合わせ先:釧路弁護士会 電話:0155-26-3133(山口)
○チラシはこちらから。
(2023年02月10日公開)