アムネスティ・インターナショナル日本、死刑執行で、日本政府に抗議声明


 法務省は12月21日、藤城康孝(65歳)、高根沢智明(54歳)、小野川光紀(44歳)各死刑確定者の死刑を執行したと、発表した。死刑執行は2019年12月以来2年ぶりで、岸田内閣では初めてである。これによって死刑確定者は107人となる。

 同日、アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府の死刑執行に強く抗議する声明を発表した。

 それによると、岸田内閣は、その発足時「国民を守り抜く、外交・安全保障」という基本方針とその取組みとして「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟」を掲げているが、政権発足後わずか1か月あまりで古川偵久法務大臣が死刑執行を行ったことは、外交では人権を守り抜くと言いながら、国内では人権を蔑ろにする岸田政権の姿勢の表れだ、と強く批判している。

 また、日本政府は、これまで国連の総会決議や人権理事会の普遍的定期審査によって、また複数の国連人権機関から、死刑の執行停止と死刑廃止に向けた取組みを行うよう、繰り返し強く勧告されている。とくに、国連自由権規約委員会は「世論の動向にかかわりなく、締約国は死刑の廃止を考慮すべき」とし、世論を口実として死刑廃止に向けた措置を一切とろうとしない日本政府の態度を同時に非難する。

 さらに、第二次再審請求中であった小野川光紀さんの死刑執行は、自由権規約第6条に違反するものであると指摘し、国連自由権規約委員会の勧告に基づき、日本政府は再審や恩赦の申請に執行停止効果を伴う、死刑事件における義務的・効果的な再審査の制度を確立すべきである、と要請する。

 最後に、アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対して政府は国際人権諸条約の締約国として「死刑にたよらない刑事司法制度を構築する国際的な義務」を負っているとし、その義務の履行のために、「生きる権利をはじめとする人権保障の大原則」に立ち戻り、速やかに死刑の執行を停止するよう求めている。

 アムネスティ・インターナショナル日本の抗議声明や日本弁護士連合会の「死刑制度の廃止を求める要請書」(2021年12月)が提言するように、国会や政府は死刑廃止に向けた議論をただちに開始すべきで、その一歩として、死刑の執行停止を法制化するべきである。

(2021年12月22日公開)


こちらの記事もおすすめ