今国会で、18・19歳を「特定少年」として厳罰化する「少年法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、2022年4月1日に施行されることが決まった(審議の詳しい経過は、少年法改正国会を傍聴するを参照)。
少年法「改正」に反対する市民の会(共同代表:片山徒有、川村百合、佐々木光明、新倉修) は、6月23日、最高裁に対して、以下の3点に留意されるよう要望するとともに、少年法の運用にあたっても、同1条の基本原則に則って少年保護手続の一層の充実をはかるよう要望した。あわせて、5月23日に同市民の会が公表した「『少年法等の一部を改正する法律案』可決・成立に抗議する緊急声明」を手渡した。
①少年法第62条(検察官への送致についての特例)の運用に当たっても、家庭裁判所調査官による調査および少年鑑別所による心身鑑別にあたっては、対象少年の保護環境、成育歴、保護を要する問題性などに深く留意し、犯罪事実の表層的な理解や社会的評価の重大性に捕らわれることなく、要保護性の心理学的・社会学的・教育学的な解明を尽くし、少年法第1条にいう「健全な育成」を実現するあらゆる努力を惜しまないこと。
②検察官送致に当たらないとして保護処分を課する場合(第62条および第64条)においても、犯罪事実の外形に捕らわれることなく、対象少年の保護環境、成育歴、保護を要する問題性などを慎重に検討し、観護の措置や指導の規定を十分活用して、憲法上の「最小制約原理 The Most Restrictive Alternative」に則り、少年の最善の利益を十分に考慮して、対象少年の個別の事情に照らして最もふさわしい処遇を実現すること。
③その他、新しい少年法に応じて、少年審判規則を見直すにあたっても、以上の事項を留意した上、家庭裁判所が保護主義の原則を実現するうえで、最も相応しい方法をとるように努めること。
なお、6月26日現在、上記緊急声明について賛同者531名、賛同団体12団体(後記)となっている。被害者と司法を考える会、子どもと法・21、平和・人権・民主主義の教育の危機に立ち上がる会、相模原の教育を考える市民の会、地域から平和を考える会、世田谷こどもいのちのネットワーク、全国在日外国人教育研究協議会、新潟県高等学校教職員組合、NPO法人女性と子どものスペース・ニコ、ふぇみん婦人民主クラブ、NPO法人アジア女性資料センター、NPO法人中国帰国者の会。
(2021年06月29日公開)