熱量が演技の難しさをなくさせる
──7年もあった裁判を凝縮させて描くには、映画の構成が肝心だと思います。このあたりのことについて、お話ください。
秋田 Winnyの映画を見てもう一つすごいなって思ったのは、金子さんを、どうやって描くかという点です。実際の法廷で金子さんがソフトを動かしたのも、映画で描かれた通りでしたし、あのあたりは、どういうふうに構成しようとか、何かアイディアはあったんですか。
松本 現場で東出さんから「金子さんの純粋さとか、天才性とかをもう少し見せられないか」っていう相談を受けました。そこで、確かバックプロパゲーションの話を追加したんですよ。もともとの脚本にはなかったんですけど。それこそ三浦さんの言葉で「10年に一人の天才だ」という言葉も、ちょっと足したりしたと思いますね。
秋田 映画では金子さんが、被告人質問の途中でアイディアを思いついて、プログラミングを始めちゃうシーンがありますが、あれはシナリオですか。
東出 そうです。それで、「今、尋問中なのでやめてください」って壇先生から言われて、「でも、ちょっと」って言いながらパソコンをいじって、笑いが起きるのは台本ですね。
秋田 その金子さんを演じる中で、一番難しいところはどこですか。
東出 なんかありましたっけ。
秋田 難しくない?
松本 難しいといえば、すべて難しいだろうと、僕は客観的に思ってます。
秋田 あのときの裁判長は、氷室眞裁判長っていうんですけど、裁判長にP2Pをわからせるために、どう説明するのか。これはちょっと面白いなと思って見ていました。
東出 一番は、壇先生の熱量ですね。壇先生が「それは違う」とか、「これはそうだ」って言っていただいたのがよかったです。そういう意味で、難しさって、本当にないのかなって思います。
秋田 確かに、壇君は熱心にロケにも付き合っていたみたいですね。
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(2023年07月31日公開)