事件への関わりと初期対応
——事件について簡単に説明すると、大川原化工機が製造した噴霧乾燥器は、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)の規制物件であったが、それを経済産業省(以下、経産省)の許可を受けずに中国と韓国に輸出したとして、外為法違反の容疑で同社の大川原正明社長、島田順司取締役、相嶋靜夫顧問の3人が逮捕・起訴されたものです。これに先立って会社関係者50人が任意で述べ290回以上にわたって事情聴取されていました。
はじめに、大川原化工機事件の弁護を引き受けた経緯について、お話しください。
髙田 この事件で初めて大川原化工機と出合ったわけではありません。企業法務を専門としている関係で、以前、商事系の仲裁案件の依頼を受けました。その後は、顧問契約を結び、契約のアドバイスなどを行っていました。
そうした中、2018年10月に警察が大川原化工機の全拠点と7人の役職員の自宅にまで家宅捜索が入ったということで、相談を受けました。これが、この事件との関わりという意味では最初です。
その時は弁護人というより、法律顧問として相談を受ける程度でした。家宅捜索が入るということは、その後、任意の取調べが始まることが予想できたので、どういうことが疑われていて、それにどう対応していくべきか。その方針について相談を受けました。
企業としては捜査へ全面的に協力していく姿勢を保ちつつ、違法な輸出をしたという認識はなかったため、会社の考えを警察にしっかり説明して、理解してもらう。あ……
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(2024年08月21日公開)