認められない保釈

——今回のことは、典型的な人質司法です。ただ、黙秘方針ということで社長たちも納得し、協力してくれたことで、幸いにも自白を取られませんでした。こういう人質司法を何とか解消するために、保釈請求を何度もしたと思います。確か8回されていたと思いますが、保釈請求で特に気を遣った点はどこですか。

髙田 なぜ保釈請求がこんなにも蹴られ続けるのかがわかりませんでした。ヤメ検の弁護士や、刑事弁護に長けた弁護士も外部から弁護団に参加してもらい、連日、意見交換をして臨みました。身体拘束を解くことが会社を助けることにもなるので、保釈にはかなり力を入れてやりましたが、全然保釈されません。

 第1回公判までは、法律上、担当裁判官は勾留(保釈)手続に関与できません。そこで、公判前整理手続では、事件の担当裁判官にも相談しました。その裁判官は「おかしいですね。この事件は長期間保釈が認められない事件とは思えませんよ」といったことも言ってくれました。「この事件の争点について、保釈の担当裁判官が理解していない可能性もあるので、私のほうで期日の経過について書きますよ」と言って、期日の経過と「長期間拘束することは必ずしも相当とは言えない」ということにまで触れたペーパーを出してくれました。異例のことだと思います。

 ただ、そのペーパーを付けて保釈請求をしましたが、それでも保釈が通りません。その時は本当に異常だと思いました。最終的には、公判前整理手続の担当裁判官からの示唆もあり、「保釈を取るんだったら、証拠意見において歩み寄るし……

(2024年08月23日公開)


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