これまで紹介してきたとおり、中日新聞、東京新聞、静岡新聞、読売新聞、毎日新聞の五紙が袴田さんに関わる精神障害者差別記事を掲載しています。
以下、差別記事掲載五紙の袴田さんの任意取調べ後、不当逮捕後、起訴前後の記事についてあらためて検証します。
⑴ 7月4日の任意取調べ後の呼称
「従業員H」との記述は中日新聞と毎日新聞で、「従業員某」との記述は静岡新聞と読売新聞と二通りに分かれ、中日新聞は翌日「衣類の持ち主、製造係某さん」と変わり、静岡新聞は「従業員H(重要参考人)」となっています。なお、朝日新聞は「作業衣の持主Hさん」となっています。この段階では匿名となっていますが、事件現場の近隣住民にとっては「袴田」さんとすぐに特定できるものだと思います。
⑵ 識者コメント及び精神疾患名
東京新聞と中日新聞は精神科医のコメント、静岡新聞と読売新聞は同一人で大学教授によるコメントで、毎日新聞は静岡支局長のコラムに、それぞれ差別記事が存在していました。東京新聞と中日新聞のコラムの精神科医は「二重人格を持った分裂病者」、「二重人格の分裂病者」、静岡新聞と読売新聞は同一人物の大学教授が「異常性格」と「脳障害・脳の感情中枢の障害」との、専門家によるコメントで記述されている病名です。
分裂病は現在では統合失調症と病名が変わっていますが、精神疾患では代表的な病名です。また、二重人格と異常性格について、『精神科ポケット辞典』(弘文堂、1981年)では、二重人格について「まったく別の人格(第二人格)に変化した状態が……
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(2024年04月10日公開)