清水こがね味噌事件(袴田事件)報道記事の検証(中)

寺澤暢紘(浜松 袴田巖さんを救う市民の会)


4 差別記事掲載の五紙に記事の検証を求める

 私たちは2021年6月以降、差別記事の掲載五紙に対して記事の検証申し入れを行いました。その中で、掲載記事が袴田さんを精神障害者であるかのように表現することは人権侵害であり、精神障害者への差別、偏見を助長するもので、その事実確認と検証作業を実施し、そのうえで説明及び訂正記事の掲載を求めました。また、精神障害者の差別、偏見を解消するための今後の取材・報道の在り方についても併せて見解を求めました。

 申し入れを行った五紙は、当時の関係者が亡くなっていること等を理由に、検証ができないとする回答に止まっています。しかしながら、袴田さんに対する精神障害者への差別、偏見に基づいた記事は厳しく問われるべきで、再審公判が開かれる中で差別記事掲載各紙は自らの責任で厳正な検証を行い、袴田さんへ心からの謝罪を行うべきであり、掲載責任はどこまでも問われるものだと思います。

⑴ 東京新聞への要請と回答

 東京新聞代表者あてに次のように要請書(2021年2月16日付)を送付しました。その中で、「田原医師の見解は、精神障害者は何をするか分からない、危険な者だとする、精神障害者への差別、偏見を拡大させるもの」、「人権侵害であり、精神障害者差別と偏見を助長するもの」、「現編集部として、この記事についての説明及び訂正等の記事の掲載を求める」として、「現在もなお続く、精神障害者の差別、偏見を解消するための取材、報道の在り方を明らかにしていただきたい」と回答を求めました。

 これに対し、東京新聞編集局長より回答(2021年3月25日付)がありました。「中日新聞から提供を受けた原稿……

(2024年04月08日公開)


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