連載 和歌山カレー事件

和歌山カレー事件
刑事裁判のヒ素鑑定の誤りを見抜いた民事裁判
第1回

有罪の根拠となったヒ素鑑定が「妥当性を欠く」「正確性を欠く」「一部前提を欠く」鑑定だったことを認めた判決(上)

河合潤 京都大学工学研究科教授

全文がPDFでダウンロード可能pdfアイコン

1 カレーヒ素事件民事裁判

 和歌山市の自治会夏祭りのカレー鍋に大量の亜ヒ酸が混入され,死者4人を含む多数の被害者を出したカレーヒ素事件(1998.7.25)では,林真須美が犯人として逮捕され,和歌山地裁で死刑判決(2002),大阪高裁で控訴棄却(2005),そして2009年に最高裁で死刑が確定した.しかし現在(2023)に至るも林真須美は犯行を否認し続けている.本稿で言及する判決等を図表1に示した.

図表1 関連裁判の判決と決定

  小川(2002) 和歌山地方裁判所刑事部 裁判長裁判官 小川育央,裁判官 遠藤邦彦,藤本ちあき,被告人林眞須美に対する殺人,殺人未遂,詐欺被告事件 判決,2002年12月11日.判例タイムズ,No.1122(2003年8月30日号),pp.464 ⑴ -133(332); LEX/DB28085175. ……

(2023年02月14日公開)


こちらの記事もおすすめ