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人質司法から会社をどのように守るか(下)

髙田 剛(たかだ・つよし)

人質司法から会社をどのように守るか(下)

国賠で立証を目指した事件捏造の構図

——国賠の準備として、どんなことをしましたか。

髙田 刑事事件で無罪獲得に向けた弁護活動を続けていた2020年11月ごろに、警察関係者から差し出されたとみられる手紙が届いたことがありました。

 具体的な事実が書かれていたわけでもなく、極秘資料が同封されていたわけでもなく、「応援しています」という内容の手紙でしたが、警察内部にも捜査に疑問に抱いている人がいるとわかりました。これをきっかけに事件の証拠を改めて精査し、隠されている証拠があることを摑みました。具体的に言うと、捜査の初期段階で、経産省と警視庁公安部が、かなりの回数の打合せを重ねていることがわかりました。

 公判前整理手続の中で、検事から証拠一覧表を受け取っていましたが、経産省との打合せに関する資料は一覧表に記載されていませんでした。なぜその存在がわかったのかというと、検事から開示された膨大な資料の中から、それを匂わせるようなメールのやり取りが出てきたからです。それは経産省と警察の議事録ではなく、経産省とその出先機関であるCISTEC(システック・安全保障貿易情報センター)の議事録です。「CISTECさん、あなた方は警察に呼ばれてこんなことを話していませんか」みたいなやりとりです。

 それを見ると、この頃、経産省もCISTECも、それぞれ警察と何かやっていたことがわかりました。そこで、主張関連証拠開示請求を使って、いわゆる捜査メモの開示を求めました。捜査メモの開示請求は、経産省、CISTE……

(2024年08月26日公開)


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