一件一件の弁護を大切に
今後の目標とか、さらにやっていきたいことはありますか。
私は刑事弁護の研修の講師もやっているので、若手の女性弁護士に「目標にしてます」みたいな形で声をかけてもらうことが、これまでも多かったです。
でも、私自身は、格好いい弁護人になることに価値をあまり感じません。自分が格好いいとか、自分が主役ではなく、堂々としていてわかりやすいプレゼンをしたり、説得したりすることが依頼者の利益につながるのので、そこを磨いていきたいと思っています。
私が一貫して言うのは、常に依頼者のためで、それは形として見えなくても、その人(依頼者)だけにわかってもらえればいいことです。
だから、これからも私だからできた弁護、それは結果だけでなく、「この人とこういうつながりをつくれたのは私だからだな」と自分でも思えるし、できれば依頼者にもそう思ってもらえるような弁護を積み重ねていきたい、ただそれだけです。
一隅を照らすというか、それをできるだけ飽きずに、ダレずに、常に事件の一件一件を大切にやっていくことをどこまで続けられるかだと思っています。
人が結構好きなんだなというのが、金杉先生から伝わってきます。
確かに、そうかもしれません。
常に80〜90件を抱えながら仕事
編集担当者と、「何かあったときに、どんな人に弁護してもらいたい?」というような話をすることがあります。そんなとき、私はやはり自分のことをちゃんと考えてくれるのが伝わってくる人が一番に来ます。
そうですよね。ときには「こっちはあなたの事件だけやっているわけじゃないから」と思うこともありますが、それを言ってはいけないなと。弁護士が何十件と抱えながら仕事をしていること、多分、想像がつかないと思います。
私は来たものを受けているだけですが、民事も合わせると80〜90件でしょうか、刑事の件数は多くありません。
思ったより多いですね。
この他に会務というか、弁護士会のことだったり、いくつかの団体の理事のことなど、ありとあらゆることがあるので、マルチタスクでないと回りません。
そういう中で接見に行っても、すぐに頭を切り替えることができるんですか。
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(2022年08月15日公開)