仕事はのめり込まず、どこか他人事扱いで
後輩で刑事弁護をやっている人にアドバイスをするとしたら、どんな感じでしますか。
そもそも、アドバイスできることが全然ないですね。
ないですか。
刑事弁護ができるかどうか、僕にはそんなに自信がありません。体力勝負ですからね。僕はまだ高齢者ではありませんが、30歳の人には勝てませんよ。接見に毎日通えるかどうかがすべてですから。基本、否認事件は毎日通わなければいけないので。
毎日ですか。
日々何が起きるかわかりませんからね。
体力はつけておいたほうがいいと、筋トレとか。
検察官も裁判官もですけどね、健康第一です。この仕事は、健康を害しやすいのです。僕は検察官時代に鬱(うつ)を2回やっていますから。仕事はどこかで他人事扱いにしておかないと、心身がもたないです。
前回の坂根真也先生も弁護士の仕事はストレスを溜めやすいとおっしゃっていました。
検察官より弁護人のほうが、事件にのめり込みやすいのではないでしょうか。その人からダイレクトに頼まれるので、のめり込みますよね。ある意味、のめり込まなければいけないところもあります。だって、依頼者からお金をいただいているわけですから。
でも、完全に依頼者と同化してしまうと頭が変になります。なぜなら、依頼者にとっては一生の一大事ですけど、弁護士はそんな依頼者を複数抱えていますから。どこまでのめり込むべきで、どこまで冷静でいるべきかのバランスが難しいです。僕は、そこがあまりわかっていません。
その点、検察官はいいです。
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(2021年05月10日公開)