「なぜ悪い人を弁護するんだ」
坂根さんは、刑事弁護に特化した法律事務所を創設しました。どんな方か興味津津でやってきました。そこで、日頃、刑事弁護や弁護士について疑問に思っていることをお聞きしたいと思います。一般の人から「こんなに悪いことをした人を、何で弁護するんだ」と聞かれたら、どうお答えしますか。
ある人が悪いことをした、あるいはそれを疑われている場合、社会がみんなしてその人を責めることになります。そうすると、多数が少数を責める構造にどうしてもなってしまいます。まして、警察つまり国家権力は早く犯人を逮捕して治安を維持したいという欲求が高いですから、そういう傾向に陥りがちです。
「悪いことをしたんだから、少しぐらい不利益を被ってもいいじゃないか」というのが一般の人の素朴な感情です。そこに、冤罪(えんざい)が生まれる素地があります。あるいは、やったこと以上の責任をその人が問われることになってしまいます。それを防ぐ役割の一翼を担っているのが弁護人です。
刑事弁護の道へのきっかけ
刑事弁護をやろうと思ったきっかけには、何かあったのですか。
私にとっては刑事弁護は天職すぎて、最初にどういうふうに目指したのかも忘れました。1980年代に免田事件など死刑再審4事件という著名な冤罪事件があって、それを学生時代に知ったときにとても大きな衝撃を受けたのが、最初のきっかけだったように記憶しています。
学生のときに、何か活動をされていたのですか。
特に、何かをしていたわけではないのですが、弁護士を目指して、勉強中にそういう本を読んではいました。
では、最初に弁護士になろうと思ったのは、法学部に入学されたからでしょうか。
会員登録(無料)が必要です
これより先は会員専用コンテンツです。ログインまたは会員登録が必要です。
(2021年02月22日公開)