執筆者:村岡美奈 監修者:藤田正隆

【第4回】国選と私選とでは違いはあるの?


●とある留置施設にて……

弁護士「はじめまして。ご連絡いただき、参上しました」

被疑者「こんばんは。いろいろ聞きたいことがありまして」

弁護士「どうぞ、どうぞ」

被疑者「私は、1週間前に逮捕されて、まず当番弁護士が来ました。そのとき、国選と私選弁護人の違いについて聞いたら、『同じです』と言われました。なので、その人に国選としてやってもらっていますが、なんか違うのではないかという気がしています」

弁護士「何か気になることがありましたか?」

●国選と私選弁護は違うの?

被疑者「私の妻に連絡を頼んだら、してくれましたが仕事の用事を頼もうと思ったら、『国選だからできない』といわれました。また、キャッシュカードを宅下げしようとしたら、『国選だからできない』といわれました。やはり国選と私選は違うんじゃないかと、その弁護士に聞いたら、『刑事弁護としては、やることに変わりはありません』といわれました。本当ですか?」

弁護士「なかなか、答えにくい質問ですね。公式見解としては、確かに『国選弁護も私選弁護も、刑事弁護でやることに変わりはない』といえます。しかし、中には、国選だからという理由で、示談交渉さえしない弁護士もいると聞きます」

被疑者「示談交渉は、刑事事件の一環ですよね」

弁護士「私は、そう思います。日ごろから、刑事弁護に関わっている弁護士の多くは、そのように答えると思います。しかし、示談交渉はあくまで民事の和解と同じなので、民事だという考え方をしている人もいると聞きます」

(2019年06月28日公開)


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