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依頼人とのコミュニケーションを円滑にするための刑事弁護必修用語集
ヤクザ関係の情報。刑事は、担当する被疑者の資料を必ず読む。これを活用し、「義理と人情に厚い男らしいな。一目見てわかる。内緒の話やけど、「G資料」にそう書いてある」と巧妙に被疑者を懐柔しながら手の内に入れる。
刑事が被疑者を脅す言葉。「引き当たりの名目で、手錠はめて引き回し、世間の見せ物にしてまうぞ」。
取調べに抵抗して食事を拒否して頑張ること。「ハンスト(ハンガーストライキ)」のことである。「シャリ抜きで頑張りますから執行停止を頼みます」と安易な考えでシャリ抜きをする者もいる。【語源】舎利は仏陀の遺骨のことであるが、米粒を表すようになった。「シャリ抜きのジギリで出てきました」。
実刑判決により、被告人を刑事施設に収容すること。「監獄」という言葉は法律上はなくなっているが、「監」という用語がいまも使われている。「はよ出頭して収監してもらえ。そうせんと保釈金が返ってこんわ」。
勾留質問もしくは、「検調」のため、警察本部からのバスが各警察署の留置施設を回って、何人もの被疑者を乗せて連行する。「集中」ではないときは、「個別」。
被告人の在廷は「出頭」といわれるが、弁護人も「立会い」ではなく「出頭」となっている(刑訴法289条2項)。裁判官と書記官は「列席」で(刑訴法282号)、弁護人と対等な当事者であるはずの検察官は「出席」(同条)となる。公判調書(手続部分)の記載では、このような用語が用いられている。これとは別に、逮捕状、収監状が出ている人物が、警察署などに自ら行くこと一般をいうことも多い。
捜査段階の裁判官や検察官の処分に対する異議申立て。このことをよく知っている被疑者・被告人もいる。公判段階になっても、異議申立ての趣旨で「先生、すぐ準抗告してください」という被告人がいるので説明が必要。
前刑の執行終了後5年以上経過していて、執行猶予の要件を満たしていること。「5年すぎて準初犯ですねん。執行猶予ですわ」。楽観的な被告人は弁護人にこのようなことを言う。
保釈には全て条件がつく。にもかかわらずこのような無意味な言葉があるのは、「人質司法」といわれる中で、例えば、「控訴せず判決に服す」といったことを条件にして、短期間でも保釈を認めてもらいたいといった痛切な願いが込められている。「保釈で出して下さい。条件保釈でもよろしいから」。
「請求書」「申立書」のいずれでもないような場合に出す。書類の表題を「上申書」とする扱いがよくみられる(例えば「控訴趣意書提出期限延長の上申書」など)。裁判所だけではなく、検察庁に提出する書類まで「上申書」としている場合もある。しかし、「上(おかみ)に申し上げます」というのはいかにも時代錯誤である。ケースに応じて、「意見書」とか「申入書」「要望書」とかにすべき。