3月10日

カチコミする

家宅捜索に入る。「きっちりカチコんだれよ」と上司が部下に気合いを入れる。別に、ヤクザの「カチ込み」は抗争で発砲などすることなので要注意。

3月11日

カチ割る

自供させる。「カチ割ったらんかい。チンタラするな」との上司の叱咤が部下の捜査員に飛ぶ。

3月12日

柄（がら）を取る

逮捕する。「今日は４課のガラ取りや。応援に行ってきます」。【語源】身柄（みがら）から。被疑者のことをまるで物体扱いする。

3月13日

カリカン（仮監）

かつて大阪地方裁判所本館地下にあった「仮監獄」の略称である。今では新館地下にある大阪拘置所の「出廷留置場」をいう。法律上「監」の用語はなくなっているのに、現在も実務では、「カリカン」と呼ばれている。弁護人は公判の前後にここにある接見室（４室）で接見できる。被告人にとって大切な接見の機会である。

3月14日

カンヅメにする

被疑者を取調室に出さず、留置施設の中に長く置いたままにして苦しめる。被疑者にとって、取調べのないことの方が苦しい。「いつまでも否認しとけ。カンヅメのままにしとったらあ！」。他方、「畳が腐るまで座ったる。カンヅメなんかに負けるかい」と性根が座っている者もいる。弁護人は、被疑者の留置状況を把握し、適宜激励することが必要である。

3月15日

鑑（かん）取り

交友関係の捜査。聞き込み。

3月16日

還付手続

家宅捜索などで押収した物品を返還する手続。これが煩わしい。細々と「切手が10枚……ええか見とけよ。１枚、２枚……」といちいち数える。

3月17日

かんもく（完黙）

「完全黙秘」の省略語で「黙秘」（憲法38条１項、刑訴法198条２項、311条1項）を続けること。本来は供述調書に署名・指印をしないだけでなく、一言もしゃべらないことをいうが、現実には雑談に応じて失敗することも多い。また、被疑者の多くは供述調書に署名・指印しないことをもって「完黙」としているが、実際には雑談の中で「ここだけの話でっせ」と喋っている者もいる。弁護人は真の黙秘かどうかを接見の過程で見極めるのが肝心である。捜査員は黙秘者の雑談を「報告書」として書面にする。したがって、雑談にも注意することを弁護人は指導するべき。

3月18日

管理官

捜査の指揮をとる警視。その上は理事官。

3月19日

聞き込み

事件現場周辺や関係者の事情聴取に回る捜索。東京（警視庁）では「地取り」という。