執筆者:村岡美奈 監修者:藤田正隆

【第5回】弁護士の捜索差押(ガサ入れ)の立会い


●裁判所にて

被疑者「(電話が鳴った)先生、お久しぶりです。前に、債務整理をお願いした者ですけど、おぼえていますか」

弁護士「こんにちは。多重債務で首が回らなくなった方ですね。何とか債権者と話を付けて、解決できたので、覚えています。あれから、お仕事順調ですか。久しぶりの電話でうれしいんですけど、あと5分で裁判が始まるから、30分後くらいに折り返してもいいですか」

被疑者「あの、緊急なんで少しだけいいですか」

弁護士「緊急?はい、どうぞ」

被疑者「いま、自宅に警察が来て、これからガラ(身柄)を持っていくと言われてます」

弁護士「エッ? 逮捕? なに罪?」

被疑者「わかりません、ちょっと自分も久しぶりでパニックなんで、どうしたらいいでしょう」

弁護士「では、警察署に着いたら、何も話さずに、『弁護士を呼んで』と言って、私が行くのを待っててください。今日中に必ず行くから」

被疑者「ありがとうございます、待ってます!」

●警察署にて

弁護士「遅くなりました。どうしたんですか」

被疑者「身に覚えのない窃盗事件なんですけど、どうすればいいですかね」

弁護士「覚えがないなら、黙秘でしょう。黙秘権の行使の仕方は、わかりますか」

(2020年07月03日公開)


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