お久しぶりです! 齋藤鑑識証明研究所の齋藤健吾です。
昨年、本欄にて指紋鑑定と筆跡鑑定に関する連載をさせていただきました。この度、シーズン2として再びコラムを掲載させていただくこととなり、大変嬉しく思います(連載番号は通しで付しますので、今回は第13回となります)。
今回も「鑑識」という少し堅いイメージのあるテーマを面白く、親しみやすく、そして魅力的にご紹介していきます。ぜひご一読ください。
さて、今回のテーマは「指紋鑑定は別人の証明ができない!?」です。結論から申し上げますと、技術的には指紋による別人の証明は可能ですし、鑑定において難しいことではありません。しかし、学術的に別人を証明する方法がないというのが現状です。
では、なぜこのような状況になっているのか、詳しく解説していきます。
1 指紋鑑定基準の成り立ち鑑定基準とは、鑑定によって事実を証明する方法を定義したものです。数学における「三角形の証明方法」のようなものと考えるとわかりやすいでしょうか。
さて、まずは指紋鑑定基準の成り立ちについて説明していきます。1900年頃、犯人特定のために指紋を犯罪捜査に取り入れる動きが世界的に広まりました。日本警察もこの流れに乗り、1908年に捜査方法として指紋鑑定を導入しました。その際に必要となったのが「指紋鑑定基準」です。これは、2つの指紋を比較したときに、どのような条件を満たせば同一の指紋であると証明できるかを定義したものです。
そこで結論として導き出されたのが、指紋の特徴箇所を比較し、12カ所が一致すれば同一指……
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(2025年04月28日公開)