3 罪を犯した人たちと共生する社会への道のり
「共生社会を創る愛の基金」創設とその活動
——後半はちょっと話題を変えて、村木さんが現在、力を入れている活動についてお伺いします。「共生社会を創る愛の基金」とか、「若草プロジェクト」という社会的な活動をされていらっしゃいますが、それぞれどのような活動をされているのでしょうか。
村木 共生社会を創る愛の基金は、端的に言うと、累犯障害者の人たちの支援なんです。そのきっかけについて少しお話しします。さっき言ったように、郵政不正事件では、不当な取調べをなぜ検察がやったかが、「検察の在り方検討会議」では明らかにはならなかったので、その原因を明らかにすべく国家賠償の裁判を起こしたんです。ところが、国はこちらの主張を認諾してしまい、裁判の場で争えなくなって、何の事実も出てこなかった。裁判費用とか除いて、結局、手元に3,333万円残ったんです。しかし、ものすごく腹が立ちました。賠償金は「これも税金だろ」っていうことでね。——被告が、この場合は国ですが、認諾してしまえば、それで裁判は打ち切りで、原告に請求額をそのまま支払うことになりすからね。結局、捜査や取調べの実状が明らかにならなかったわけですね。
村木 あとで弁護士の弘中先生や信岡先生と、「失敗したね」って顔を見合わせたんです。ものすごい高い額を吹っ掛けとけば、認諾できなかった……会員登録(無料)が必要です
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(2018年10月26日公開)