みなさま、こんにちは! 齋藤鑑識証明研究所の齋藤健吾です。
みなさんは“指紋”という言葉をご存知でしょうか。何となく理解しているとは思いますが、正式な定義としては2つの意味があります。1つ目は「指の第一関節の上部表側の皮膚紋様」を、2つ目は「物に付着している指先の痕跡のこと」を指します。
また、手の中で指の第一関節以外は何という名称なのか? その部分は鑑定ができるのか? そのようなことも事例を紹介しながら、今回はお伝えしていきます。
1 事案の発生
いわゆるホストクラブで起きた事案でした。この会社は、給料日になると封筒に現金を入れ、セロテープで封をしてから、従業員に給料を渡していました。店長の大島さん(仮名)はいつも通り、会社の口座から現金を引き出し、封筒に入れ、店長しか使わない机の引き出しにしまっておきました。
従業員に給料を渡していると、一つの封筒のセロテープが剝がされていることに気がつきました。不審に思って中身を確認すると、封筒に入れていた現金が全てなくなっていました。
現金を盗まれていることがわかった大島さんは、全ての封筒から現金が盗まれていないこと、および他に荒らされた形跡がないため、従業員による犯行と直感しました。
2 指紋鑑定の依頼
大島さんは、現金が盗まれたことにひどく腹を立てました。このままにしてしまうと、犯人はいい気になって、もう一度お金を盗むと思い、絶対にこのタイミングで犯人を見つけなくてはならないと考えました。
確実に犯人を特定するには、何をしたらいいのか。インターネットで検索していると、小社のホームページに目がとまりました。そこで、指紋を使って犯人を特定する方法を知り、調査を実施することにしました。
大島さんから依頼をいただき、我々は指紋鑑定の進め方を相談しました。その際、大島さんは再犯が起こらないよう、全従業員から指紋を採りたいと強く言っていました。もちろん、我々が会社に訪問して、全従業員から指紋を確保することはできますが、強制的に指紋を採ることはできないので、本人の同意が必要と説明しました。
すると、大島さんは従業員に指紋を採る目的をしっかり伝え、盗みのない職場を作るために協力してほしいとお願いすると言っていました。
指紋鑑定の相談をした結果、以下の手順で鑑定を進めることになりました。
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(2024年05月22日公開)