刑事裁判の場合は、予断排除の原則から、起訴状一本主義が徹底されていますが、だからと言って、裁判官も書記官も、第1回公判までに何の準備もせず、完全な丸腰で臨むわけではありません。
第1回公判の約1週間前を目途に、公訴事実の認否の見込みや書証に対する意見の見込み、弁護人の立証予定(書証、証人、被告人質問の予定時間等)について、弁護人に確認することが一般的です。もしも、公訴事実を否認する場合には、その具体的内容について尋ねますし、書証に不同意の場合には、具体的にどの部分について不同意なのかを確認していました。検察庁が、書証の同意部分についてのみ抄本を作成しておく必要があるためです。その他、特に、実況見分調書については、図面部分についてのみ同意できないかを確認するようなこともあったと思います。
弁護人から得られた情報は、了解を得て検察庁に連絡し、検察庁側からも情報を得ることになります。特に、警備を要するような場合の情報を入手することが重要で、もし警備を要する場合は、裁判官や上司と相談の上、警備計画を作成していくことになります。毎回のように刑事事件の裁判で大声を張り上げ、裁判官に食ってかかるような弁護士さんがいましたが、その場合は、法廷がある度に何らかの形で職員が警備につくこともありました。
これらの情報を基に、裁判官と期日前にミーティングという形で打合せをし、裁判の流れについて裁判官と書記官で認識を共有した上で、第1回公判に臨むということが一般的なスタイルでした。ただ、これは裁判官によって異なり、書記官から得た情報を基に裁判官がメモを作成し、特段ミーティングは行わないというスタイルを好む裁判官もいました。一方……
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(2023年11月14日公開)