公判前整理手続は、充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行うために、必要な場合に行われます(刑事訴訟法316条の2)。そして、裁判員裁判では、必ず公判前整理手続が行われることになります(裁判員法49条)。一方、裁判員裁判以外の刑事事件では、それほど積極的に利用されているという印象は少ないです。
なお、制度施行前は、「公判まえ整理手続」と呼ぶ人と、「公判ぜん整理手続」と呼ぶ人が半々くらいでしたが(呼び名は決まってなかったそうです)、現在は、ほぼ全員が「公判ぜん整理手続」と呼んでいると思います。省略して、よく「こうはんぜん」とも呼ばれるようにもなっていました(……と、この記事をテレビを観ながら書いていると、すごいタイミングで、あるニュースキャスターが、「こうはんまえ」と読んでいました〔笑〕。調べてみると、「前」と「全」を誤解されないために、「まえ」とあえて読んでいるそうです)。
裁判員裁判の公判中は、裁判員の負担も考慮して、計画的に、極力短期間でさくさくと事件が進んでいきますが、そこに至るまでの公判前整理手続期間中は、特に、期間の長短等の意識は低く、従前の裁判のように、ゆったりめに進行されている感じでした。「もっと早いペースで進めた方がいいのではないか?」と思うことも多々ありましたが、もちろん担当する他の事件との兼ね合いもあり、日頃の繁忙さが原因の一つでもあります。この公判前整理手続の長期化が、裁判員裁判の大きな課題の一つにもなっています。
私のいた部には、かなり多数の暴力団事件が係属しており、なぜか管理職である主任書記官が公判前整理手続の間は全て担当するという非常に負担の重い状態になっていて、一人……
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(2022年12月28日公開)