社会の様々な領域で人命にかかわる人的な原因に起因する事故が発生する。社会経済活動を営む以上、過誤は避けることができない。そうした過誤(事故)から教訓を学ぶ仕組みを“Sentinel Event Review (SER)”という。日本ではあまり馴染みのない概念だ。警鐘事故調査などと訳される。Sentinel Eventとは、医療事故の場合、「医療現場において患者の病気の自然な経過とは関係なく、患者の死亡や身体的または心理的な重篤な傷害につながる予期しない事象のこと」と説明される。
各国でこうしたSERの仕組みが確立されてきており、わが国においても医療分野で「医療事故情報収集システム」が2004年から特定機能病院、国立病院等を中心に医療事故の情報提供を義務づける制度が始まっている((https://www.med-safe.jp/))。報告された事例に対して、医師・看護師・薬剤師等の17名の分析委員がコメントを付して公表している。制度に参加する医療機関と報告件数は以下のとおりである。
表2 医療事故情報システムによる報告一覧

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(2025年03月26日公開)