みなさま、こんにちは! 齋藤鑑識証明研究所の齋藤健吾です。
本連載も早いもので12回目となり、最終回となります。指紋・筆跡鑑定の存在をもっと身近に感じて欲しい。もしも鑑定が必要になったら、必要な情報を提供したい。そんな想いで記事を書いてきました。みなさまのお役に少しでも立てたのであれば、嬉しく思います。
さて、筆跡鑑定が実施されやすい案件は、どのようなケースが多いでしょうか。いろいろな場面で筆跡鑑定が登場していると思いますが、我々に筆跡鑑定の依頼があるケースを分類してみると、意外に多くはありません。今回は、依頼が多いケースを性質ごとに分類し、紹介していきます。
1 筆跡鑑定に必要なもの筆跡鑑定によって判明することは、誰が書いた文字であるかが分かることです。具体的に書かれた文字が、誰によって書かれたものかを判別したケースは、どのようなものが多いでしょうか。
⑴ 遺言書が本物か偽物か
筆跡鑑定をするケースで一番多い案件が「遺言書の真偽鑑定」です。依頼がある筆跡鑑定の60%を占めていると言っても過言ではありません。遺言書を鑑定する動機は様々であり、依頼人が求める答えも違ってきます。
例① 依頼人:次男
父が亡くなった後、同居していた長男から遺言書が出されました。遺言書を開けて、家族全員で確認すると、生前に父が言っていた内容と大きく違い、長男に優位な遺産分配となっていました。さらに、文字を見ると父が書いた文字と微妙に違って見えるので、兄が偽造したのではないかと疑っています。
《依頼人が求める答え→偽造》
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(2024年11月06日公開)