大麻取締法の改正案が国会で成立し(2023年12月6日)、新法の1年以内の施行が予定されている。重要な改正点は、次の3点である。
第一は、医療用大麻の解禁。大麻(日本では伝統的に「麻」と呼ばれてきた植物)にとくに医療用大麻という特別な種類があるわけではなく、大麻に含まれている依存性のない化学物質(CBD=カンナビジオール)が難治性のてんかん治療に効果があることが認められるようになったのである。そこで、大麻草から製造された医薬品の施用等に関する禁止及びその罰則規定が大麻取締法から削除された。医療用大麻へのゴーサインが出されたことについて異論はない。改正によって大麻取締法は、「大麻草の栽培の規制に関する法律」という名称の法律に生まれ変わった。
第二に、従来の大麻取締法は、大麻草の特定の部位を規制してきた(いわゆる部位規制)。すなわち、大麻草の成熟した茎および(樹脂を除く)その製品と、大麻草の種子およびその製品を除いた「大麻草(カンナビス・サティバ・エル[筆者注:大麻草の学名、「エル」というのは植物学者リンネの略])及びその製品」が規制対象とされてきた(同法第1条)。具体的には、主に大麻草の花穂(かすい)や葉の部分がこれまでの規制対象であった。これは、これらの部位に精神活性成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)がとくに多く含まれるためである。今回、この部位規制から、大麻を麻薬及び向精神薬取締法(麻向法〔まこうほう〕)における「麻薬」に組込んで、THCを直接規制する成分規制へと規制の仕組みが大きく変更された。
第三に、大麻規制が麻向法による成分規制に移行したこと……
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(2024年03月15日公開)